2018年7月31日
第3回 会社の状態を示す経営指標の「目安」をご存知ですか
会社経営を始めたころの私は、決算書の「け」の字も知らないというお粗末な状況でした。「PL(損席計算書)」と言われた時に野球の強いチームと勘違いをしたり、「BS(貸借対照表)」と言われた時にテレビ局と勘違いをしたりと、少しオーバーな部分もあり笑い話のようですが、本当の話です(笑)。
もちろん、その後経営をしていく中で、いろいろ勉強をして、人並みに財務諸表を読めるようにはなりましたが、なんといっても、初めての会社経営だったため、自分の中に「基準」というものがありません。自社の数字は理解できても、現在のようにインターネットも普及していなかったので、「分からないことはすぐにググればいい」というものでもなく、その数字が「良いのか?」「悪いのか?」など、さっぱり分かず、自分の会社の状態を知るのに苦労したのを思い出します。
たまたま先日読んでいた雑誌に、各種資料の「目安」が掲載されていました。自社の状態を知るための参考になりますので、紹介したいと思います。
なお、目安は一例であり、業種・業態によって異なります。
自己資本比率
総資本のなかに占める自己資本の割合。一般的にはこの数値が高いほど借金への依存度が低く、お金の集め方が健全といえる。
自己資本比率=自己資本÷総資本×100(%)
目安=50%以上
固定比率
設備投資が返済のいらない自己資本でまかなわれているかどうかを示す。
固定比率=固定資産÷自己資本×100(%)
目安=100%以下
固定長期適合率
固定資産への投資が長期的負債と自己資本の範囲内でまかなわれているかどうかを示す。
固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100 (%)
目安=50%以上
流動比率
短期的な負債を返済しても手元に残るだけの流動資産があるかどうかで、資金繰りに余裕があるかどうかが判断できる。
流動比率=流動資産÷流動負債×100 (%)
目安=150%以上
当座比率
換金性の高い資産で緊急時の短期的な負債を返済できるかどうかを示す。
当座比率=当座資産÷流動負債×100 (%)
目安=100%以上
総資本回転率
経営活動のために使われた資金が、年間に何回転して、売上として回収されたかで、ビジネスの効率を示す。
総資本回転比率(回)=売上高÷総資本
目安=2回以上
売上債権回転率
売上債権(受取手形や売掛金)は早く現金化することが望ましい。売上に占める売上債権が年間何回転するかによって、適正がどうかを示す。
売上債権回転率(回)=売上高÷売上債権
目安=6回以上
固定資産回転率(製造業)
固定資産の利用度や投資効果を示す。低すぎると過剰投資だが、高すぎるのも投資効果に問題あり。
固定資産回転率(回)=売上高÷固定資産
目安=2.5回以上
総資本経常利益率(ROA)
会社全体の活動でどれだけ利益をあげられたかを示す。
総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100 (%)
目安=5%以上
株主資本利益率(ROE)
株式資本を使ってどれだけ利益をげられたかを示す。
株主資本利益率=当期純利益÷株主資本×100 (%)
目安=10%以上
売上高営業利益率(製造業)
営業活動が有効に行われ、利益が出ているかどうかを示す。
売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100 (%)
目安=5%以上
こういう不透明な時代だからこそ、会社の中身を見直すいい機会にして、会社の現在の状態を分析し、筋肉質な財務体質にしてほしいと思います。
嶋津 良智(しまず よしのり)
・一般社団法人 日本リーダーズ学会 代表理事
・リーダーズアカデミー 学長
・セミナーズアカデミー 学長
・早稲田大学 エクステンションセンター講師
日本唯一の『上司学』コンサルタント。大学卒業後IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中で最年少営業部長に抜擢され、就任3ヵ月で担当部門の成績が全国No.1に。28歳で独立、2004年5月株式上場(IPO)を果たす。業績向上のための最強の組織づくりをノウハウ化した独自プログラム『上司学』が好評を博し、世界15都市でビジネスセミナーを開催。シリーズ100万部のベストセラー「怒らない技術」をはじめ、著書累計150万部を超える。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.336(2018年8月1日発行)」に掲載されたものです。