2018年8月31日
第4回 『 長寿企業 』の秘訣はたった2つのことだった!?
以前、日本経済新聞に東京商工リサーチの調べで「100年を超す長寿企業 全国で2万1,000社」という記事が掲載されていました。その記事によると、なんとその秘訣はたった2つでした!
「本業重視」 「身の丈にあった経営」
あまりにも普通すぎて、魔法の杖でも求めているような方はがっかりされたのではないかと思いますが(笑)、やはり商売は「あたりまえの徹底」に尽きるのではないかと改めて感じました。
世の中には誘惑も多く、とかく人は特別なことに関心を寄せがちです。そういった流行りの誘惑や特別な方法で短期的成果を得られることはあっても、長期で成功するには、やはり「誰もができるあたりまえのことを、誰もができないくらい続けること」ではないかと思います。
商売成功には魔法があった!?
例えば、飲食店でAとBのどちらに行きますか?
A 汚い店 B きれいな店
A まずい店 B おいしい店
A 不便な場所にある店 B 便利な場所にある店
A サービスの悪い店 B サービスの良い店
例えば、インターネットのECサイトでAとBのどちらを利用しますか?
A 不便なサイト B 便利なサイト
A 見ていてもおもしろくない普通のサイト B 見ているだけでワクワクするような楽しいサイト
同じものであればAとBのどちらで買いますか?
A 高いサイト B 安いサイト
A 怪しいサイト B 安心できるサイト
挙げればきりがありませんが、至極当たり前の徹底こそ商売の魔法なのかもしれません。
松下幸之助氏の『不況克服の心得十カ条』
企業や自分自身の原点に立ち返り商売の原理原則を思い出してみてはいかがでしょうか。不況の時だからこそ、好不況などあらゆる時代を乗り越えてきた名経営者の重い言葉が何かを思い出させてくれるのではないかと思い、今回は、経営の神様 松下幸之助氏の『不況克服の心得十ヵ条』で締めくくりたいと思います。
第一条 「不況またよし」と考える
不況に直面して、ただ困ったと右往左往していないか。不況こそ改善へのチャンスであると考える前向きの発想から、新たな道もひらけてくる。
第二条 原点に返って、志を堅持する
ともすれば厳しさに流されて判断を誤りやすい不況こそ、改めて原点に返り、基本の方針に照らして進むべき道を見定めよう。そこから正しい判断も生まれ、断固とした不況克服の勇気と力が湧いてくる。
第三条 再点検して、自らの力を正しくつかむ
ふだんより冷静で念入りな自己評価を行い、自分の実力、会社の経営力を正しくつかみたい。誤った評価が破綻を招くのである。
第四条 不撤退の覚悟で取り組む
なんとしてもこの困難を突破するのだという強い執念と勇気が、思いがけない大きな力を生み出す。不況を発展に変える原動力は烈々たる気迫である。
第五条 旧来の習慣、慣行、常識を打ち破る
非常時ともいえる不況期は、過去の経験則だけでものを考え行動してもうまくはいかない。これまでの当然のこととしてきた習慣や商売の仕方を、徹底的に見直したい。
第六条 時には一服して待つ
あせってはならない。無理や無茶をすれば、深みにはまるばかりである。無理をせず、力を養おうと考えて、ちょっと一服しよう。そう腹を据えれば、痛手も少なくなる。終わらない不況はないのである。
第七条 人材育成に力を注ぐ
「苦労は買ってでもせよ」というが、不況とはその貴重な苦労が買わずとも目の前にあるときである。不況のときを人材育成の絶好の機会としたい。
第八条 「責任は我にあり」の自覚を
業績低下を不況のせいにしてはいないか。どんな場合でも、やり方いかんで発展の道はある。うまくいかないのは、自らのやり方に的を得ないところがあるからである。
第九条 打てば響く組織づくりを進める
外部環境の変化に対する敏感な対応は、よい情報も社員からどんどん上がってくる、お互いの意思が縦横に通いあう風通しのよい組織であってこそ可能となる。
第十条 日頃からなすべきをなしておく
不況時は特に、品質、価格、サービスが吟味される。その吟味に耐えられるように、日ごろからなすべきことをなしていくことが必要である。
嶋津 良智(しまず よしのり)
・一般社団法人 日本リーダーズ学会 代表理事
・リーダーズアカデミー 学長
・セミナーズアカデミー 学長
・早稲田大学 エクステンションセンター講師
日本唯一の『上司学』コンサルタント。大学卒業後IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中で最年少営業部長に抜擢され、就任3ヵ月で担当部門の成績が全国No.1に。28歳で独立、2004年5月株式上場(IPO)を果たす。業績向上のための最強の組織づくりをノウハウ化した独自プログラム『上司学』が好評を博し、世界15都市でビジネスセミナーを開催。シリーズ100万部のベストセラー「怒らない技術」をはじめ、著書累計150万部を超える。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.337(2018年9月1日発行)」に掲載されたものです。