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中小企業のための 勝つ!組織のつくり方

2018年9月30日

第5回 長期的に成長し続ける会社の社長は何に時間を使っているのか?

社長であるあなたは、毎日何の業務に、どのくらいの時間を使っていますか?少し考えてみて下さい。

 

なぜ、このようなことを質問したかというと、多くの社長が間違った時間の使い方をしているからです。こういった質問をすると営業や事業開発、財務のことなどに多くの時間を割いていると答える方が多いようです。極端な話、「営業に90%時間を使っています」と回答する社長もいるくらいです。

 

たしかに、営業や事業開発など、会社経営において大切ではあります。しかし、長期的に成長し続ける会社の社長は、皆あることに多くの時間を割いています。

 

それは何か、ということをお伝えする前に、ある事例をご紹介します。電力事業や航空・ヘルスケア事業を営む世界的な企業、GE(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)の例です。1878年にエジソンが創業したGEは、時代の変化に対応しながら持続的に成長し、常に世界時価総額ランキングの上位に入っている企業です。そんなGEの前最高経営責任者(CEO)ジェフリー・イメルト氏は、かつて毎週金曜日の夜は必ず、将来の次期リーダー候補250人の中の1人と、1対1で夕食を共にしていたといいます。250人全員と会食するためには5年以上の月日がかかりましたが、それを行ったおかげで、イメルト氏の頭には「彼はどのような経験をしてきたのか」、「どういう仕事が得意なのか」、「人間性はどうなのか」といった情報が常にインプットされていました。そのためGEでは、「この新規プロジェクトは、かつて○○の事業を立ち上げて成功させた経験のある彼に任せよう」、「このプロジェクトの後任は、○○における経験値の高い彼に任せよう」など、常に短時間で最適な人的配置が行えました。これは元会長のジャック・ウェルチ氏がトップを務めていた時代からのやり方を踏襲したもので、GEが長期的な成長を続ける大きな要因のひとつでしょう。

 

つまり、会社を持続的に成長させるためには、自社の「人的資源」を最大限に活用することが重要で、経営トップが人事に相当な時間を費やさなければならない、ということを示しています。マッキンゼーの日本支社長を経て、現在ではビジネス・ブレークスルー大学の学長を務める経営コンサルタントの大前研一氏も「基本的に経営陣と管理職は、最低でも自分の時間の20%を人事のために使うべきだ」と話しているとおり、会社を持続的に成長させていくためには、人事を人事部長など他人任せにすることなく、社長自らが力を入れないといけないのです。

 

あなたは、自社の社員1人1人、特に次期リーダー候補について、以下のようなことを把握しているでしょうか?

 

もし、これらのことを把握していないのであれば、会社を持続的に成長させるために今からでも良いので、人事に社長自ら力を注ぎましょう。そうすれば、自ずと最適な人的配置ができるようになるでしょうし、その結果として、各部署やチームの力の底上げや、5年、10年と長期的に成長し続ける強い会社作りが可能になるのです。
(出典:2018年7月4日リーダーズアカデミー Lesson 615)

 

プロフィール
嶋津 良智(しまず よしのり)
・一般社団法人 日本リーダーズ学会 代表理事
・リーダーズアカデミー 学長
・セミナーズアカデミー 学長
・早稲田大学 エクステンションセンター講師

日本唯一の『上司学』コンサルタント。大学卒業後IT系ベンチャー企業に入社。同期100名の中で最年少営業部長に抜擢され、就任3ヵ月で担当部門の成績が全国No.1に。28歳で独立、2004年5月株式上場(IPO)を果たす。業績向上のための最強の組織づくりをノウハウ化した独自プログラム『上司学』が好評を博し、世界15都市でビジネスセミナーを開催。シリーズ100万部のベストセラー「怒らない技術」をはじめ、著書累計150万部を超える。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.338(2018年10月1日発行)」に掲載されたものです。

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