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法律相談

2019年4月23日

Q.電動キックボードにまつわる諸規制と義務

―未来の都市交通を担う電動キックボード(通称「Eスクーター」)や、電動ユニサイクルなどのパーソナル・モビリティ・デバイス(以下、「PMD」といいます)の交通規制について―

Q : 最近、電動キックボードのような乗り物で通勤・通学をしている人をよく見かけます。日本では見かけない電動キックボードですが、シンガポールではどのような交通規制があるのでしょうか?

 
A :シンガポール政府は、自動車に依存しない社会を作る目的の一環として、PMDをはじめ、電動自転車や電動歩行補助機材の普及を進めています。
 一方で、PMDを利用する者が、高速で歩行者のすぐ横をすり抜けるなどの危険な運転をして、歩行者を轢いてしまうなどの報告が増加したことを受け、政府は、2017年1月にアクティブ・モビリティ法(Active Mobility Act)を制定し、電動自転車やPMDに関するルールやマナーを包括的に規定しました。
 

Q : 具体的には、どんなルールが法律で定められているのですか?

 
A : 
 
1. 最大積載重量及び最大幅
 アクティブ・モビリティ法は、PMDの利用に関する全般的なルールを制定しています。同法は、重大な接触事故を避けるため、PMDに乗る際に運ぶことができる荷物の最大重量を20kg、最大幅を70cmと規定しています。これらの規定に違反した場合、最大10,000SGDの罰金と最大6ヵ月の禁固刑が科される場合があります。
 
2. 最高速度
 道路の種類によりPMDの最高速度が規定されており、歩道(Footpath)では最高15km/h、自転車レーン(Cycling Paths)及び自転車歩道(Park Connector Network)では最高25km/hとなっています。最高速度超過の場合、最大2,000SGDの罰金と最大6ヵ月の禁固刑が科される場合があります。
 
3. 利用可能道路
 PMDは、歩道、自転車レーン、及び自転車歩道での利用が可能ですが、車道(Roads)での利用は禁止されています。車道でPMDを利用した場合、最大5,000SGDの罰金と最大6ヵ月の禁固刑が科される場合
があります。
 
4. その他
 夜間にライト点灯義務を怠った場合、最大2,000SGDと最大6ヵ月の禁固刑が科される場合があります。また、歩道で非常に危険な運転(ride recklessly)をした場合、最大5000SGDと最大6ヵ月の禁固刑が科される場合があります。
 

Q : PMDの所有者として今後気をつけるべきことはありますか?

 
A :2019年7月以降、PMDの所有者は、「Onemotoring」というウェブサイトへの登録義務が課されます。(www.onemotoring.com.sg/escooter)登録は、2019年1月2日より、ウェブサイトまたは最寄りの郵便局(SingPost)で行うことができます。2019年3月31日までに登録を完了させれば、登録費用の20SGDが免除されます。しかし、2019年4月1日から2019年6月30日の間に登録した場合は、通常の登録費用である20SGDがかかりますので、PMD所有者の方は早めの登録をお勧めします。

 

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ケルビンチア・パートナーシップ 登録外国弁護士 菅谷 伸夫

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.342(2019年2月1日発行)」に掲載されたものです。

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