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ビジネスインタビュー

2008年3月3日

人材サービスの新しい付加価値をプロデュース

J Power Consultancy 代表 福田直子さん

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シンガポールの人材市場の現在

シンガポールの経済成長、それに伴い確実に拡大している労働市場を鑑みると、現在人材ビジネスにとってまたとない好機が訪れている。既に日系大手の人材紹介会社も数社進出して地盤を築いている他、シンガポールを本拠地として人材紹介や人材教育関連事業を営む企業も少なくない。
J POWER CONSULTANCYの代表である福田氏は、人材市場の現状を好機と捉える以上に、求人側の企業や求職側の人材の心理にこれまでにない戸惑いが生じていると指摘する。企業側にとっては、ビジネスの拡張に伴って求人のカテゴリーが多様化する中、 Sパス(専門・短大卒向け)発給の緩和などによる外国人労働力の選択肢も増え、人材を見極めていく視点やプロセスが一層複雑になった。求職者にとっても就職先を選ぶ機会が増えた分だけ、惑わされることなく自分のキャリアプランを慎重に考えて選択する必要が生じている。福田氏は、「スキルや専門性と仕事のマッチングだけではなく、人間性とのマッチングを図ることがこれまで以上に重要なポイントになります。」と語る。

 

J Power流の人材サービス

福田氏は、シンガポールの大手人材紹介会社で9年間勤務の後、2003年に独立してJ POWER CONSULTANCYを立ち上げた。あらゆる業種への人材紹介業務を柱に、ビジネスマナー研修の企画運営、翻訳・通訳派遣など、人事に関わるあらゆるプロジェクトに携わってきた。福田氏は、自らのサービスを「特異性(ユニークさ)の中に他にない特質(クオリティー)をもったサービス」と呼ぶ。効率や営利の追求だけに特化した従来のビジネスのスタイルとは一線を画した、企業や求職者への福田氏のパーソナルな関わり方にそれを見ることができる。

 

顧客なる企業への基本姿勢については 「求人を希望される企業には、まず求人しなければならい『問題』に対して何でもご相談ください、というスタンスでお伺いしています。 求人を進める上での戦略立案の際、その認識を共有しておく必要があることはもちろん、 中には、求人そのものが相応しい問題解決に繋がるとは限らないケースもあるからです。」 と語る。

 

また、求職者への対応にも共通した姿勢で臨む。 毎週土曜日には、事前予約制の無料キャリアカウンセリングの時間を設け、仕事上の悩みを持つひとりひとりの話に耳を傾ける。「矛盾して聞こえるかもしれませんが」と前置きをしながら、「お会いした方々に最初から転職するというアクションを私は薦めません。自分で転職が必要だと思うに至った問題を掘り起こして、それを理解した上で、長期スパンで見たキャリアの創り方を一緒に考えようというスタンスなんです。そこを解決しないと、後に同じ問題意識にぶち当たり、転職を繰り返すことにもなる。カウンセリングの際の言葉のキャッチボールを通して、ご本人が自分の内なる声に気付いて、自分のキャリア、人生に主人公意識を持って頂けたらベストです。そして選択肢のひとつに転職があればいいと考えています。」と語る。産業カウンセラーの資格をもち、コーチングについても詳しい福田氏ならではのアプローチなのかもしれない。

 

「カウンセリングを終えた後、親戚の方とお話しているようで何でも話せちゃいました、とほっこりとした笑顔を見せてくれる方もいます。何かの気づきを持ち帰って頂ければ、私も嬉しい。」と、爽やかな笑顔でエピソードを語る福田氏が、求職者から厚い信頼を寄せられているのも頷ける。
多様化するニーズに答えて行くために、人事のプロとしてのこれまでの専門分野からそれることなく、J Powerという媒体を通して、社外アソシエイツとの協働の機会をふやしていきたい、と今後の抱負を語る。福田氏は、「これからは、長所で勝負する時代です。私にない専門性をもつ方々とユニットを組むことで幅の広い仕事ができる。私自身、100%以上貢献できるプレーヤーでありたい。」と新しい可能性にも意欲的だ。

人に携わる仕事の魅力とアントレプレナーであること

「仕事を通して、人を勇気づけているようで自分が勇気づけられることも多いですし、自分の人生を考えるきっかけも頂いた。人と関わり合う魅力を教えてくれたのが人材ビジネスであり、一生携わって行きたいですね。30代半ばで起業したのも、機が満ちたというか、とても自然な決断でした。」起業してからの5年間はとても長く感じましたが、とこれまでを振り返った。興味のある方にはシンガポールでの起業を薦めますか、という問いに、「是非すすめたいです。」と即答。継続させていくことが一番難しい、としながら、「ビジネスへの情熱とやりたいと思う気持ち、現実とのバランスが大事です。

 

それらの調和、バランスをとりながら邁進することを心がけていれば、グッド・ラックを逃さず掴むこともできるはず。」とエールを送った。何事も「継続は力なり」、そんな信条を日々実践している氏ならではのアドバイスだろう。
そんな福田氏の良き理解者は、日本で知り合ったシンガポール人のご主人と愛犬。お互い良い意味での放任主義で、家計の負担もフィフティ・フィフティという、自立したプロフェッショナルらしいご夫婦である。休日は、大好きなうどんをオリジナル料理にアレンジしてご主人と一緒に味わうのが楽しみだという。

 

将来は、仕事とプライベートで日本とシンガポールを行き来するライフスタイルが理想、という福田氏。その活躍の場は、今後も広がっていきそうだ。

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TEL:6225-3577
E-mail:fukuda@jpower.com.sg

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この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.117(2008年03月03日発行)」に掲載されたものです。
文=桑島千春

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