2018年4月24日
CDの年次報告書、早々に消滅の見通し、シンガポール証取の電子的通信規則緩和など要因
オーディオCDが時代遅れになったように、CD-ROM(読み出し専用CD)を使った年次報告書も早晩、過去の遺物になりそうだ。要因として、シンガポール証券取引所(SGX)が電子的通信規則を緩和したこと、CD生産の急減、CDの環境への影響などが挙げられる。
SGXは昨年3月、上場企業は年次報告などの文書をデジタル方式で株主に送付して構わないと通知した。株主がCDや印刷文書での報告を希望することはできる。CDは郵便で送付する物理的実体のため、SGXの指針では電子媒体とみなされない。
投資信託を運営するTIHインベストメント・マネジメントによると、パソコンを持たない株主がおり、またCDドライブを装備していない携帯パソコンもあり、株主への報告にCDの使用をやめたという。
年次報告などは各社のホームページで閲覧・ダウンロードできるのもCDが廃れた理由だ。CD-ROMは埋め立てごみにしかならないという環境上の問題もある。
CDが印刷物に代わる、環境により優しい年次報告媒体ともてはやされ始めたのはわずか10年前の2008年。CDの消滅は郵便業者に影響を与えるが、年次報告を発行する企業には経費の節約になる。