2018年6月21日
シンガポール、電子決済普及で現金、小切手不要の社会に
オン・イエクン教育相は6月20日、シンガポール銀行協会(ABS)の行事における演説で、電子決済が普及しており、現金の使用をさらに減らし、また2025年には小切手利用ゼロを目指すと表明した。
オン氏はシンガポール金融管理庁(MAS)の理事。電子的支払いの利用が拡大しており、携帯電話を使った個人間の現金振り込みが可能な「ペイナウ」の登録者は140万人を数え、昨年の導入以来、約9億Sドル(約730億円)が送金されたという。
8月からペイナウは企業も利用できるようになり、また政府との決済にも利用できる。教育省は最近、奨学金振り込みでペイナウを試験利用しており、ほかの政府機関も交付にペイナウを利用する計画だ。
電子決済を利用したことがあるのは、消費者では10人のうち8人強で、商店では60%近くに達している。
電子決済の利用増に伴い現金、小切手の利用が減少しており、ATM(現金自動預払機)を利用した現金引き出し額は毎年3億Sドル(約243億円)ずつ減少している。
会計事務所のKPMGによると、保管、輸送、警備、焼却など現金、小切手の管理・処分には、国内総生産(GDP、15年実績)の0.5%に相当する20億Sドル(約1,623億円)がかかった。
オン氏は「電子決済の便利さ、信頼度が一定のレベルに達すれば、利用者が一気に増加する」と語った。