2018年10月29日
米中貿易戦争の影響はこれから=シンガポール中銀半期分析報告
シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は10月26日、年2回実施しているマクロ経済調査の報告書を発表。シンガポール経済は米中貿易戦争の影響をまだ受けていないが、この先数四半期にわたり成長阻害要因となる可能性があるとの分析を示した。
報告書によれば、米国と複数の貿易相手国との間に「緊張緩和」が見られるものの、貿易摩擦は世界経済の動きで最も考慮すべき課題だという。
シンガポールと中国は世界のサプライチェーンで重要な中継地であり、シンガポールの電子機器輸出は米中貿易戦争の影響を受ける可能性がある。
一方でプラスの波及効果も見込める。米国向け中国の電子機器の半分に高関税が課せられているため、製造拠点を移す動きがあるからで、在中米商工会議所の調査によると、米企業430社のうち3分の1は中国からほかの国に工場を移転、または移転を検討している。移転先として最も有力なのは東南アジア。
報告書は国内経済における有望部門として、サイバーセキュリティー、デジタルバンキングなど先端技術を利用した近代的サービス郡を挙げた。
一例を挙げると、デジタル決済の利用は急速に拡大しており、小切手利用が減少している。近代的サービスは経済の30%を占めており、今後、経済貢献度は増す見通しだという。