2018年12月20日
ゴールドマン・サックス元幹部、証券業務が生涯禁止に
シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は12月19日、米投資銀行ゴールドマン・サックスの東南アジア地域会長だったティム・レイスナーに対し、シンガポールにおいて資金調達にかかわる証券業務に携わることを生涯禁止すると発表した。
MASは先にレイスナーに対し、そうした業務の10年間禁止を暫定的に決めていたが、レイスナーは米司法省が起こした裁判で、資金洗浄、汚職に関与したことを認めた。これをうけ罰を重くした。
事件の舞台はマレーシア国営投資ファンドのワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)で、1MDBによる複数の起債をゴールドマンが引き受け65億米ドル(約7,302億円)の資金が調達されたが、27億米ドル(約3,033億円)が横領されたという。ゴールドマンは証券引き受けで6億米ドル(約674億円)という法外な手数料を得た。マレーシア当局は会社としてのゴールドマンも起訴している。
レイスナーは米国での裁判で、1MDBから仕事を得るためマレーシアとアブダビ政府の職員に贈賄を約束し、実行したことを認めた。レイスナー自身、調達された資金の一部を着服し、調達された資金とともに国際金融システムを通じ洗浄したことを認めた。
レイスナーは、シンガポールにおいて資本市場免許で活動する企業の取締役、大株主にもなれない。