2018年10月5日
シンガポール企業の海外資産取得、今年は昨年の倍に
政府系を中心に、今年はシンガポール企業による海外資産の購入が増加している。ブルームバーグのまとめによると、1~9月に発表された、シンガポール企業による投資は910億米ドル(約10兆3,800億円)で、前年同期(419億米ドル)の2倍強になった。最も目立つのは政府系投資会社テマセク・ホールディングスと、外貨準備を運用しているシンガポール政府投資公社(GIC)の動きだ。
政府は数年前から海外進出・投資を企業に促しており、テマセクとGICが先導役を果たしてきた。シティグループ域内幹部のビラー氏は「シンガポール企業にグローバル化の意欲が感じられる。次世代を担うエグゼクティブのチームは多国籍企業で働いた経験があり、海外に関心が高い」とコメントした。
具体的取引では、シティグループはシンガポール・テクノロジーズ(ST)エンジニアリングによるゼネラル・エレクトリック子会社買収案件(6億3,000万米ドル(約719億円))を仲介した。キャピタランドは米国の集合住宅を約8億ドル(約913億円)で買収する。
ごく最近では、メープルツリー・インベストメンツが米、仏、独、ポーランドの物流施設を11億米ドル(約1,255億円)で取得したことを発表した。3社とも政府系企業。
今年のこれまでのシンガポール企業による海外資産購入は469件。中国への投資も68件と多く、投資額は計195億米ドル(約2兆2,250億円)と前年同期の5倍に上った。アリババ・グループの金融会社、アント・フィナンシャルへの資金注入にはテマセクとGICが参加した。