2019年5月8日
バーチャル銀行免許、交付に向け金融庁が検討開始
シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は5月7日、支店がなく、窓口係もいない、インターネットや電話などあらゆる通信手段を利用し、年中無休で仮想空間の中で銀行サービスを提供する「バーチャル銀行」の免許交付を検討していると明らかにした。
広報担当者は「テクノロジー業者や銀行以外の企業もデジタル面の進展は目覚ましく、顧客に価値をもたらしてきた。バーチャル銀行がどのような価値を銀行界にもたらせるか、またリスク管理の方法を探るため、利害関係者と協議を重ねている」と語った。
銀行最大手DBSのピユシュ・グプタ最高経営責任者(CEO)が外国通信との会見で、香港同様、シンガポール当局はバーチャル銀行免許を交付する可能性があると発言したのを受けたもの。
グプタ氏は、現実の銀行もデジタル能力を高めているためバーチャル銀行が許可されても大きな影響は受けないとの見解だ。OCBC銀行のサミュエル・ツィエンCEOも、同行を含め既存の銀行は技術投資を行い、客の期待に応じるためデジタル能力を構築している、と自信を示した。
グプタ氏によれば、バーチャル銀行は業務効率が高く、100Sドル(約8,107円)の収入を上げるのに必要な経費は30Sドル(約2,432円)と、DBSの40Sドル(約3,243円)より少ない。
シンガポール科学技術・デザイン大学(SUTD)のロルフ講師は「バーチャル銀行がシンガポールで成功するかは、客の信頼を得ることができるかで決まる。既存の銀行は信頼獲得に数十年をかけた」とコメントした。