2025年3月10日
シンガポール、新たな失業者支援制度を導入
シンガポール政府は、非自発的な失業者を対象に、新たな「活動型支援制度(SkillsFuture Jobseeker Support Scheme)」を4月中旬に導入する。本制度により、求職活動を行うことで、最大6,000Sドルの給付金を受け取ることが可能となる。ンガポール人材開発省(MOM)のコー・ポー・クーン上級国務大臣が3月7日の国会で発表した。
この制度には約2億Sドルが充てられ、年間約6万人が恩恵を受けると見込まれている。支援の対象者は、リストラだけでなく、解雇、病気や事故による退職、企業の閉鎖などによって失業した人々も含まれる。
求職者は、キャリアコーチングの受講、就職フェアへの参加、履歴書の更新など、特定の活動を完了することで給付金を申請できる。初月は1,500Sドル、2ヵ月目は1,250Sドル、3ヵ月目は1,000Sドル、それ以降は月750Sドルが支給される。ただし、新たな職を得た時点で給付は終了する。
支援を受けるためには、過去12ヵ月間の平均月収が5,000Sドル以下であり、年間評価額3万1,000Sドル以下の不動産に居住していることが条件となる。
コー氏は「本制度は単なる経済的支援ではなく、求職者が自信を持って再就職できるよう導く枠組みである」と強調した。また、求職者が長期研修を受講する場合、SkillsFuture Level-up Programと併用し、最大2万1,000Sドルの支援を受けることも可能である。
さらに、働く人々のキャリア支援を強化するため、2023年11月に開始された「ポラリス・プログラム(Polaris Programme)」の利点も指摘された。これは、就業中の人々が専門的なキャリアコーチングを受けられる制度で、すでに620人以上が参加している。
人的資源相のタン・シー・レン氏は、3月6日の国会で「雇用者は従業員のキャリア支援において重要な役割を果たすべき」と述べた。政府は2月に発表した2億Sドルの「NTUC企業研修委員会助成金」を通じ、企業主導の研修を促進し、従業員のスキル向上を支援する。
今回の新制度は、キャリアブレイク後の再就職支援やWSGのキャリア転換プログラムなど、既存の施策と組み合わせることで、求職者にさらなる支援を提供することを目的としている。政府は、労働者が自身のキャリアを見直し、積極的にスキルを向上させることを促していく方針である。