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社会

2025年4月1日

シンガポールで販売されるうなぎ製品の99%以上が絶滅危機種

 シンガポールで販売されるうなぎ製品の大半が絶滅の危機に瀕する淡水ウナギを使用していることが、イェール-NUSカレッジの研究チームにより明らかとなった。2024年1月に発表された研究では、シンガポール国内の店舗やオンラインで購入した乾燥、調理済み、生のうなぎ製品266点のDNA分析を実施。その結果、99.6%の製品から絶滅危惧種の遺伝子が検出された。
 
 対象となった主な種は、日本うなぎ(Anguilla japonica)、ヨーロッパうなぎ(A. anguilla)、アメリカうなぎ(A. rostrata)の3種である。とくにアメリカうなぎが84.4%と大多数を占めており、日本うなぎが14%、ヨーロッパうなぎはわずか3サンプルだった。かつて主要な供給源だったヨーロッパうなぎは2011年からEUによって輸出禁止となっており、それを補う形でアメリカうなぎへの依存が進んでいる。
 
 淡水うなぎは養殖が難しく、多くは海で孵化し淡水で成長する複雑な生態を持つ。そのため、野生の稚魚(グラスイール)を大量に捕獲し、養殖用に使用することで、自然界での繁殖が追いつかず、個体数が減少している。
 
 また、密輸も深刻な問題であり、欧州警察機構によればガラスうなぎの違法取引は年間最大30億ユーロ(約4360億円)に達し、武器取引を上回る規模とされる。
 
 研究者は、消費者に対してうなぎの消費削減や代替食品の選択を提案し、業者には種別や産地などの明確な表示を求めている。さらに、CITES(ワシントン条約)による保護種の拡大や国際的な協力体制の強化が急務であると指摘している。

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