シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP「気合」と「根性」

嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2014年1月1日

「気合」と「根性」

今年最初のコラムなので、「初心に戻る」ということをテーマに「気合」と「根性 」についてお伝えしたいと思います。
あなたはブルース・リーの「燃えよドラゴン」という映画を見たことがあるでしょうか。この映画のオープニングシーンに、ブルース・リーが若い弟子を指導する場面があります。その一場面の会話です。

 

「俺に蹴りを入れてみろ」
(弟子が蹴りを入れる)
「気合が入っていない。もう一度やってみろ!」
(弟子が蹴りを入れる)
「怒りをぶつけろと言っているんじゃない!気合を入れろと言っているんだ!気合を入れるというのはどういうことかわかるか?集中するんだ。よし、もう1回やってみろ」
(弟子が蹴りを入れる)
「そうだ。その調子だ。今どんな気持ちだ?」
(弟子が視線を右上に外しながら考える。すると、ブルース・リーが弟子の頭を叩き一言)
「考えるな!感じろ!」

 

多少の言い回しの違いはあるにせよ、大まかに言うとこんな感じです。

 

私は正直に言うと「気合」と「根性」という言葉が好きです(笑)。ところが、否定する人も結構います。それに対して特に反論をしたことはありませんが、この映画の場面を見て「そうか!気合と根性を否定する人は、本当の意味をはき違えているんだ」と気づくことができました。
改めて辞書を引くと、「気合」とは読んで字の如く「気を合わせる」と書きます。要するに「精神を集中させて事に当たる」ということです。もっと簡単に言えば「集中力」のことを「気合を入れる」というのです。一方「根性」とは読んで字の如し「根に性を据える」。つまり「物事をあくまでやりとおす、たくましい精神」。簡単に言えば「覚悟を決めて事に当たる」ということで、もっと簡単に言えば、「覚悟すること」と言えるのではないでしょうか。この2つのことばの本当の意味を知ったら、否定できる人はいるでしょうか(笑)。「気合」と「根性」という言葉を否定する人は、「覚悟を決めて集中して事に当たる」という基本的な取り組む姿勢を否定しているようなものです。
仕事を進めていく以上は「集中力」も「覚悟」も必要です。このしっかりした土台があってこそスキルやテクニックというものが活きて、「成果」という城が建つのではないかと私は考えます。
今年も1年、「気合」と「根性」で頑張りましょう。

文=嶋津良智(しまづよしのり)

株式会社リーダーズアカデミー代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.249(2014年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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