シンガポールでは、賦課課税制度(納税者の申告に基づき税務検査官が査定し、税額を決定して納税者に通知する制度)が採用されており、日本の申告納税制度とは若干異なります。賦課決定される年度を賦課年度(Year of Assessment)と称し、2004賦課年度(2004年1月1日から2004年12月31日まで)には、2003年1月1日から2003年12月31日までの暦年に発生した所得について課税されます。但し、事業所得については、暦年を基準とせずに賦課年度の前年に終了した会計年度の所得を申告することが認められています。そのため、決算日が12月31日以外の法人は、通常、課税対象となる会計年度の決算書を元に、事業所得以外の所得(利子所得、配当所得、賃貸所得等)について暦年基準に基づいて計算し直して申告することになります。例えば、決算日が3月31日の会社の場合、2004賦課年度には、2002年4月1日から2003年3月31日までの事業所得及び2003年1月1日から2003年12月31日までのその他所得を合算して申告します。
見積課税所得及び予定納付
決算日から賦課決定までに最低でも1年近くかかるために、税務当局は、税金の徴収を確実にする目的で、事業所得のある納税者に対して決算日から3カ月以内に見積課税所得(Estimated Chargeable Income)の申告を義務づけています。この申告に基づいて当該賦課年度最初の賦課決定通知書(Notice of Assessment)が発行され、予定納付税額が決定されます。予定納付の納付期限は、賦課決定通知書の発行日から1カ月以内ですが、分割納付を申請していれば最高10回に分けて(決算日の翌月に納付開始の場合には10回、以後納付開始が1カ月遅れるごとに2回ずつ分割回数が減らされる)支払うことができます。