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会計・税務相談

2005年2月21日

Q.昨年シンガポールに赴任し、今年初めてシンガポールで個人所得税を申告します。シンガポールで申告しなければならない所得について教えて下さい。

個人所得税の申告

シンガポールの所得税法では、個人及び法人を問わず、以下の所得について課税されることとなっています。

 

  1. 国内源泉所得(シンガポールで生じた又はシンガポールから稼得された所得)
  2. シンガポール国内で受け取った国外源泉所得

また、課税の対象となる所得の種類として、以下の所得が挙げられています。

  1. 事業所得
  2. 給与所得
  3. 利子、配当、割引料
  4. 退職年金、慰謝料、年金保険
  5. 賃貸料、使用料、礼金、その他資産から生じる所得
  6. その他の所得

 

シンガポールの会社に派遣されている日本人駐在員の場合、通常、(1)の国内源泉所得に該当する所得として、シンガポールでの就労に対する給与所得がまず挙げられます。

 

給与所得には、シンガポールの会社から支払われる給与だけでなく、会社から提供される住宅や乗用車等の現物給与や、日本の本社から日本の銀行口座に振り込まれる留守宅手当や賞与等も含まれ、支払元の会社や支払先の国を問わず、シンガポールでの就労に対して受け取る全ての報酬が給与所得としてシンガポールでの課税の対象になります。

 

給与所得のうち、給与や賞与については、社会保険料その他の控除が差し引かれる前の総支給金額が課税対象の所得金額になります。

また、現物給与についても、所得税法の規定に従ってその価値を算定し、所得金額に含めなければなりません。課税対象となる現物給与の主な例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 住居(ホテルを含む)及び家具
  • 乗用車
  • 水光熱費
  • 子供の学費
  • 一時帰国費用
  • ストックオプションの行使益
  • 個人所得税

給与所得以外に駐在員に多く該当する国内源泉所得として、シンガポールの銀行預金からの受取利息が挙げられますが、個人がシンガポールの銀行預金から受け取る利子については、段階的に免税化されることとなっています。2005賦課年度(2004年に発生した受取利息)の申告では、POSBANKの普通預金以外の預金総額のうち、最初のS$100,000を越える預金からの受取利息については免税とされています。2006賦課年度以後(2005年1月1日以後に発生した受取利息)からは、シンガポールの認可銀行及び金融会社の普通預金、当座預金、定期預金からの受取利息について全て免税とされます。

(2)のシンガポール国内で受け取った国外源泉所得としては、日本に所有する不動産の賃貸料や日本で支払われた配当等の所得をシンガポールに送金して受け取ったりした場合が挙げられます。但し、2004年1月1日以後に個人がシンガポールで受け取った国外源泉所得については、全て免税とされることとなりました。

発行

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.032(2005年02月21日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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