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会計・税務相談

2005年5月16日

Q.日本の親会社から有利子で借入を行う予定です。親会社に利息を支払う際に源泉徴収税を納付しなければならないと聞きましたが、源泉徴収税について説明して下さい。

源泉徴収税について

シンガポール居住法人が国内で行う事業のために調達した借入金の利子や機械の賃貸料、特許使用料等の支払いは、その受取人にとってシンガポール源泉所得であると見なされます。これらの所得については、受取人が非居住者である場合にも、シンガポールで所得税の納付義務が発生します。しかし、非居住者から所得税を直接徴収するのは実務上困難が伴います。そこで、本来の納税者である非居住者に代わって、所得の支払人であるシンガポール居住者に所得税の徴収及び納付を義務づけているのが源泉徴収税です。シンガポール居住者は、非居住者への支払金額から一定の税率の所得税を控除し、内国歳入庁(IRAS)に納付しなければなりません。

 

源泉徴収税の対象となる主な所得には、以下のようなものがあります。

 

所得の種類 シンガポール所得税法による
源泉徴収税率
日本・シンガポール間
租税条約による税率
利子 15% 10%
使用料 10% 10%
技術料 20%
経営管理料 20%
動産の使用にかかる賃貸料その他の支払い 15% 10%
傭船料 1~3% 免税
取締役料 20%
不動産売却代金(営業取引である場合) 15%

 

シンガポールは、日本を含む50カ国以上の国又は地域と租税条約を締結しており、これらの条約には、多くの場合、源泉徴収税について国内法に基づく税率よりも低い税率を相互に適用する条項が盛り込まれています。このような租税条約が締結されている相手国の居住者に支払う場合には、シンガポール所得税法による源泉徴収税率ではなく、租税条約に基づく軽減税率が適用されます。但し、軽減税率は自動的に適用されるのではなく、支払いの受取人が当該所得について条約相手国で課税され納税していることを証明する証明書(FORM IR585)をIRASに提出し、税務検査官がそれを認めた場合に適用されます。

 

シンガポール居住者が上述の種類の所得を非居住者に支払う場合には、源泉徴収税を控除後の金額を送金し、控除した源泉徴収税については、非居住者への支払日の翌月15日までに源泉徴収税の申告書(FORM IR37)と共にIRASに納付しなければなりません。

 

納付期限までに支払わなかった場合には5%の納付遅延罰金が課せられ、更に遅延期間が1カ月を超える毎に1%の追加罰金(15カ月を最高限度とする)が課せられますのでご注意ください。

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.044(2005年05月16日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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