AsiaX

当社は、日本の会社のシンガポール子会社です。配当に関する税務上の取り扱いがインピュテーション制度からワンティア制度に代わりましたが、インピュテーション制度による配当の期限である2007年12月31日までにセクション44残高を全額親会社に配当した方がよいでしょうか。

シンガポールでは、これまで配当の支払いについてインピュテーション制度が採用されていました。これは、法人の利益は資本を出資した株主に帰属するものであり、法人税は株主が受け取る利益に課せられる税金の前払いに過ぎないという考え方です。従って、配当が株主に支払われた場合、株主の配当所得は、株主に適用される税率で計算された税額から、配当利益に対応する納付済法人税が配当税額控除として控除されます。

 

この制度は、税金の再計算や還付手続きに手間がかかり、又、配当可能な剰余金が法人税納付済利益に限定される(セクション44残高)等の問題があるため、2003年1月1日より、法人税を法人利益に対する最終的な課税とし、配当については免税とするワンティア制度が導入されました。2002年12月31日現在のセクション44残高については、2007年12月31日までインピュテーション制度による配当が引き続き認められています。

 

インピュテーション制度による配当とワンティア制度による配当では、株主にとって以下のような差異があります。

 

 

一般に、株主がシンガポール居住者の場合には、セクション44残高を使いきった方が株主に有利になる場合が多く、株主が非居住者の場合には、セクション44残高を使いきる前にワンティア制度に移行しても株主には影響がないと言えるでしょう。