GST法上、商品又はサービスの供給は、以下の4つに分類されます。
1 | 商品サービス税(GST) | 非課税供給 |
2 | 免税 |
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3 | 0%税率 | 課税供給 |
4 | 標準税率(5%) |
このうち0%税率の対象となる供給には、商品の輸出及び国際サービスがあります。これは、輸出や国際サービスを奨励するための措置であり、税率を0%にして実質免税扱いとすることにより、商品やサービスの購入者である国外の顧客にGSTをコストとして負担させることを避けることができます。一方で、これらの供給を課税供給として扱うことにより、供給者である国内の事業者がこれらの供給を行うために支払ったGSTについてインプットタックス(日本の仮払消費税に類似)として還付申請できるようにしています。
商品を一旦シンガポールに輸入して再輸出する事業者の場合、輸入時に5%のGSTを税関に支払いますが、輸出については0%税率が適用され、顧客からGSTを徴収する必要がありません。この場合、事業者は、各会計期間のGST申告で輸入時に支払ったGSTの全額について還付申請を行うことになります。これは、事業者のキャッシュフローを圧迫し、又、事業者及び税務当局双方に手続上の負担を強いる結果になります。そこで、商品を再輸出する事業者に対しては、輸入時にGSTを課さず、その商品が国内で供給された場合にのみ、その時点でGSTを課すという制度がMESです。
MESは、商品を再輸出する事業者のキャッシュフローの改善を主眼に置いているため、原則として、輸出金額が総課税供給金額の51%以上を占める事業者を対象にしています。但し、輸出金額の割合が上述の要件を満たさない事業者に対しても、1会計期間に本来納付すべきGSTに相当する金額について銀行保証書を差し入れることを要件に、申請を認めています。
輸出金額の割合は、直近の事業年度又は過去18カ月以内の連続する12カ月間の数値に基づいて判断され、申請書に記載される当該12カ月間の輸入、輸出及び総課税供給の金額が正しいことを証明する外部監査人の証明書を申請書と共に提出する必要があります。
MESは、事業者の申請に基づきGST検査官が審査の上、3年間の有効期限で資格を与える認可制となっており、有効期限が切れる度に資格更新の申請を行う必要があります。
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