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KDDI子会社がスマートフォン広告事業をアジアで加速

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携帯とPCが一体化したKDDIのポータルサイト「au ポータル」を中心に広告事業などを展開するKDDI子会社のmediba(本社:東京都港区)が、アジア進出を一気に加速させている。世界的な流れを追うかのように日本でもスマートフォンの移行が進んでいる中、同社は昨夏、スマートフォン専用のアドネットワーク事業を手がけ急成長を遂げてきた日本のネットベンチャー企業・ノボットの買収を機に、シンガポールに昨秋進出。今年の初めには韓国に駐在事務所を開設したほか、年内にはインドネシア、ベトナム、タイにも駐在事務所を置く計画だ。

 

背景には、独自に進化を遂げてきた日本の携帯電話市場が大きく変化していることにある。諸外国と規格が均一のスマートフォンへの普及が急拡大していることに伴い、同社がこれまでメインとしていたフィーチャーフォンへの広告出稿から、スマートフォンへと広告需要が急速に移行・拡大しており、同社にとっても広告出稿元にとっても他国へ市場を広げるまたとない商機が訪れているというわけだ。

 

独自技術を携え、他社との提携を推進

スマートフォン向けとしては、国内第2位となる月間70億インプレッション※1規模のアドネットワーク「mediba ad」を実現している同社だが、一歩海外に出れば世界最大規模のモバイルネットワークのアドモブ(グーグル傘下)や、ソフトバンクも出資しているインモビなど同業他社との競争が激しい。

 

medibaが現状、提携しているアドネットワーク事業者は日本と海外を含めてすでに15社。シンガポールでは、バズシティ、スマートと提携している。同社はKDDIが母体だけに、これまで日本で開発・運用してきた高い配信技術を有しており、特に正確なデーターに基づいてターゲティング配信できるのが強み。技術的な提携も含めてこの提携先を増やすことでシェア拡大を狙い、場合によっては資本提携なども視野に入れていく。自社が展開しているアドネットワークの広告掲載メディアと広告表示回数を大幅に増やし、広告主の獲得拡大が見込めるからだ。

 

シンガポールを基点に市場攻略の司令塔としての重責を担っているアジア太平洋地区のダイレクター・小野村嘉人さんは、特にスマートフォンの普及がこれから飛躍的に進むとみられる東南アジアの巨大市場を「10年間、日本で培ってきた知見とノウハウが生かせる。この市場をがっちりと掴みたい」と評する。赴任早々からアグレッシブな動きで、すでにインドネシアをはじめ、タイ、ベトナム、マレーシアを何度も往来。提携先企業との商談も順調に進んでいる模様だ。初めての経験だという海外の市場開拓は「非常にダイナミック。醍醐味を感じています」。

 

※1 ウェブサイトにおいて広告そのものが表示された回数