2013年5月27日
本気でアジア進出を考える経営者をメディアと視察ツアーでサポート
Bakumatsu Singapore Pte.Ltd.
「日本で経営者の方々に会うと、アジア進出を考えているという話が非常に多くなってきました。でも『いろいろな情報が錯綜している』『現地の人脈がない』と、みなさん困っている。このような状況を知り、2011年にアジア事業部を立ち上げました」。
このようにアジア展開のきっかけを話すのは、Bakumatsu Singapore Pte.Ltd. シニア・エグゼクティブ・ディレクターの吉田秀明さん。同社は、ベンチャー企業の広報・人材採用を支援するメディアとして創刊14年の『ベンチャー通信』、経営者のためのビジネス情報誌『経営者通信』というフリーペーパーを日本で発行している。そして2012年12月にシンガポールオフィスを開設。アジア各国の視察ツアーと海外進出支援サイト「ヤッパン号」の企画・運営を行っている。
昨年はベトナム、台湾、上海などで視察ツアーを開催。3 ~ 5年後の進出を見据えているベンチャー企業、特にIT関連企業の参加が多いという。視察ツアーの主な内容は、現地の日系企業、ローカル企業、現地の進出支援会社への訪問・交流会。2日間の訪問社数は8~10社にのぼる。
「『ベトナム・ホーチミン市IT視察ツアー』といったように業種ごとにテーマを絞って開催しています。このような細かい要望を汲み取ってツアーを実施できるのも、当社が企業トップの方々と長年ビジネスをしてきたから。経営者の感性や求めるものがわかるんです。また、1回のツアーに約7 ~ 10社が参加するのですが、そのうち1社は数ヵ月後に進出。いかに本気でアジア進出を考えていたかがわかると思います」。
玉石混淆のアジア進出情報を選別 信頼できる情報をウェブで発信
日本にいながらでも、いろいろなメディアを通じてアジア進出に関する情報を得ることができる。しかし、吉田さんはこれらアジアに関する情報は玉石混淆だという。
「日本のウェブサイトには半年以上前の古い情報がアップデートされないまま載っています。現地で活躍している経営者や進出支援の専門家から見れば、すいぶん古い情報が多い。でも、その情報をもとに進出の是非を判断するケースもあるんです。また、日本のマスメディアが提供する海外進出の情報は、国に偏りが生じています。中堅・中小企業にとっては現実味のない情報である場合も少なくありません」。 同社が運営する海外進出支援サイト「ヤッパン号」では、アジア各国に拠点を持つ進出支援の専門家を無料で紹介する。
「専門家であれば誰でも掲載するのではなく、当社で選別し、信頼できる方の紹介を心がけています。大手企業はミャンマーなど未開拓の国への進出を考えていますが、中堅・中小企業にとっては時期尚早。まずは問い合わせ件数の多いシンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンを中心に、進出支援サイトの情報量と質を充実させていきます。そして日本企業の情報インフラが整った後は、英語メディアを展開したい。将来はアジア全域の経営者に焦点を当て、シンガポールとインドネシアの企業のマッチングなども行いたいですね」。
会社プロフィール
1999年、慶應義塾大学在学中に創業者の明石智義氏が日本初のベンチャー企業に特化したフリーペーパー「ベンチャー通信」を創刊した学生団体が母体。現在、『経営者通信』海外進出支援」(総合情報サイト)「ニッポンの社長」など紙媒体とウェブサイトを手がける。 幕末という社名は、19世紀初めに志士たちが高い志と勇気、人材を活かす懐の深さによって日本が奇跡的に近代化を成し遂げた時代、幕末期にちなんで名づけられた。
Bakumatsu Singapore Pte.Ltd.
80 Robinson Road #10-01A Singapore 068898
TEL:6420-6912
取材後記
高校卒業後、「ほかの人のように欧米の英語圏への留学はしたくない」と考えて、マレーシアへ留学したという吉田さん。「マレーシアに行って2ヵ月、やっぱり英語圏に行った方がよかったと思い直して(笑)」オーストラリアへ留学したとのこと。
メルボルンの大学でヒューマンリソースマネジメント(Human Resources Management)とマネジメントの学位を取得した吉田さんは、在学中にシンガポール人の留学生と知り合い、今も交流が続いています。
学生時代に野球をしていた経験を活かし、現在はシンガポール在住の多国籍チームでソフトボールを楽しんでいるそうです。