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新規進出企業レポート

2018年12月29日

シンガポールを起点に海外市場を拡大 ASEANの日系企業の サイバーセキュリティ対策を支援

LAC Co., Ltd. Singapore Branch
支店長 大塚 慎太郎氏

 

100点満点がないサイバー攻撃対策

 サイバー攻撃に関するニュースが流れると情報流出規模の大きさに驚き、自社のセキュリティ体制を心配したものの、どう動いて良いのか分からない――。現代の経営者心理の一面ではないだろうか。
 「100点満点の対策というのはあり得ません。セキュリティにお金を使い過ぎて、本業を圧迫するようでは本末転倒ですから、どこまで対策するか、万が一の事故に備えてどこまで準備しておくのか、の見極めが大きなポイントになります。さまざまな事例、ノウハウを基に分析を行う際の考え方と手法を提供することもできます。ビジネスをセキュリティの面から支えるパートナーになりたい。アジアでも、何か困ってもLACがいる、何か頼めるという安心を持っていただければと思っています」。
 日本で国内最大級のセキュリティ監視センター「JSOC(Japan Security Operation Center)」を運営するサイバーセキュリティの老舗企業LACが昨年7月、シンガポール支店を設立した。支店長を務める大塚慎太郎氏は、JSOCの責任者を経て、国際刑事警察機構(インターポール)の新事務所開設支援チームの一員として2014年にシンガポールに赴任。各国警察への技術支援など3年間の任務を終えたことから、シンガポール支店を開設し、成長著しいASEAN全域を見据えながら、LACのサイバーセキュリティサービスの提供を開始した。
 「シンガポールはアジアの統括拠点でもあり、英語で欧米から最新技術が入ってきます。日本とは市場規模が違うので、動いている製品数は大きく異なりますが、サイバーセキュリティの技術水準はアジアでは飛び抜けており、日本ともほとんど変わりません。ただ、日系のセキュリティ専業の会社はありませんでした。日本語でさまざまな需要に応えていきます」。
 

まずはセキュリティ意識向上を

 LACシンガポール支店は大塚支店長含む4人体制。いずれもサイバーセキュリティの専門家だ。主なサービスは、▽セキュリティ監視 ▽コンサルティング ▽教育・トレーニング ▽緊急対応 ▽アセスメント(脆弱性の診断)で、現在は特に「ISMS認証」など認証資格の取得支援や、オフィス従業員向けのサイバーセキュリティの基礎教育、またサイバーセキュリティ担当者向けのマルウェア(悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称)やデータログ解析のトレーニングなどに注力しているという。「現代のサイバー攻撃は非常に巧妙です。メールを開いたらそれがウイルスで、あっという間に情報が漏洩してしまう可能性もあります。もちろん技術的な対策でできることはたくさんありますが、まずは社員のセキュリティ意識を高めることが重要です。実際には、不審なメールなどに気づくポイントはあるのです。教育の重要性を痛感しています」。
 一方、視線は東南アジア各国にも向いている。タイにある日ASEANサイバーセキュリティ能力開発センターでは、アジアのサイバーセキュリティ人材向け支援も担う。「経済が発展するとともに、情報・通信も高度化し、合わせてサイバー攻撃対策も進んでいきますが、基盤となるITシステムを作ってから対策を入れていくよりも、最初から同時に構築する方が容易なことが多々あります。一緒に成長できるような立ち位置を築けたら良いですね。セキュリティという側面からアジアの成長を支援していきます」。

 

会社プロフィール
LAC Co., Ltd. Singapore Branch
https://www.lac.co.jp/

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.341(2019年1月1日発行)」に掲載されたものです。取材・写真: 竹沢 総司

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