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会計・税務相談

2020年7月8日

Q.シンガポールの就業支援制度 (Jobs Support Scheme)について

Q.新型コロナウイルスに関連して、シンガポールでは日本の雇用調整助成金のような制度はありますか。

 2020年度予算案で発表された就業支援制度(以下JSS)が、日本の雇用調整助成金に相当する制度です。これは、新型コロナによる経済活動への影響が懸念される中、シンガポール人の雇用維持を目的として導入されました。2月18日の予算演説当時は、新型コロナの影響がここまで深刻になるとは予測されておらず、JSSの当初予算は13億Sドルでした。その後、パンデミック宣言を受けた3月26日の第一次補正予算、4週間のサーキットブレーカー措置に対する4月6日の第二次補正予算、更にその4週間の延長に伴う5月26日の第三次補正予算により、JSSによる支援は235憶Sドルに拡充されました。
 
 2020年5月末までに発表されているJSSの概要は、以下の通りです。
 
 ●2019年10月~12月および2020年2月~8月の計10ヵ月について、シンガポール国籍および永住権の従業員に支給した賃金に対し、業種に応じて25%~75%を助成金として支給する
 ●対象となる賃金は、中央積立基金(CPF)への拠出対象となる通常賃金(OW)および追加賃金(AW)の合計で、1人当たり月額4,600Sドルを上限とする
 ●2020年4月および5月に関しては、駐在員事務所などのごく一部を除き、ほぼ全ての業種について75%を支給する
 ●その他の月に関しては、新型コロナの影響が最も大きい第1業種は75%、第2業種は50%、その他の業種は25%を支給する
 ●第1業種には、航空業、観光・宿泊業、建設業(2020年6月~8月のみ)が含まれる
 ●第2業種には、飲食業、小売業、芸術・エンターテインメント業、陸上交通業、造船業が含まれる
 

Q.JSSでは、事業主がまず給与を支給し、CPFを納付することが前提となっていますが、売上が激減して資金繰りに窮している会社はどうすればよいのでしょうか。

 2020年4月7日から6月1日までのサーキットブレーカー措置の期間中も給与を支払えるように、第1回の助成金が4月に支給された際、4月分給与に対する助成金が前払いされました。また、5月分給与に対する助成金の前払いとして第2回の支給が5月に行われました。前払いされた助成金は、第3回と第4回の支給の際、4月と5月の給与支払実績に基づく助成金と相殺されます。
 

 

Q.外国人従業員に関する補償はないのでしょうか。

 外国人従業員のうち、給与を減らされると生活が成り立たないSパスおよびワークパーミットの労働者に対し確実に給与が支給されるよう、2020年4月および5月の外国人雇用税(以下FWL)が全額免除されました。更に、2019年12月までのFWLを全額納付済などの要件を満たす事業主に対し、2020年4月から7月までの賃金の補償として、当該労働者1人につき月額750Sドル(7月分のみ375Sドル)が支給されます。このうち6月分と7月分は、6月2日以降も事業所の営業再開が許可されない業種、並びに建設業・造船業・加工業が対象となります。
 

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Tricor Singapore Pte Ltd 斯波澄子

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