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Q. 弊社の取締役がACRAからメールを受け取りました。取締役の住所に関することのようですが、具体的にどのようなものでしょうか。
A. シンガポールで登記される法人等の役員または株主が個人である場合、ACRAに身分証明番号および自宅住所の登記が義務づけられています。さらに、これらの個人情報は、ACRAから誰もが購入できる法人等の情報に開示されています。
近年、個人情報の保護に対する関心が世界的に高まっており、シンガポールでも2012年に初めて個人情報保護法が制定されました。これを受けて2014年に国会で可決された会社法改正法では、法人等の役員について、自宅以外の住所(Alternate Address)をACRAが一般公開する情報に載せられる役員の住所として登記することが認められるようになりました。但し、自宅以外の住所はあくまでも追加の登記であり、ACRAには引き続き自宅住所を登記する義務があります。
自宅以外の住所の登記は任意であり、登記する場合は40Sドルの登記料が徴収されていました。しかし、個人情報保護の観点から、これまで自宅以外の住所の開示が認められていなかった個人株主も含め、ACRAが一般公開する情報に載せられる個人の情報についてより一層の配慮が求められるよう、2024年7月に新たな法律が国会で可決されました。
新しい法律では、以下の改正が為されました。
1)2024年8月23日より、役員によるACRAへの自宅以外の住所の登記について、40Sドルの登記料の徴収を廃止する
2)2024年末より、一般公開されるACRAの情報に載せられる個人の住所として、自宅住所ではなく連絡先住所(Contact Address)を開示する新しい制度を導入する
3)新制度導入までに自宅以外の住所を登記済の個人については、当該住所を連絡先住所として開示し、そうでない個人については引き続き自宅住所を連絡先住所として開示する
Q. 自宅住所はシンガポール国外ですが、シンガポールの会社の住所を連絡先住所として登記することはできますか。
A. できません。連絡先住所として登記可能な住所は、自宅住所と同じ国内にある住所で、常に連絡可能な住所でなければなりません。
Q. 複数の会社の役員を兼任している場合、それぞれの会社ごとに連絡先住所を登記しなければなりませんか。
A. いいえ、その必要はありません。役員に就任する1社について連絡先住所を変更すると、同じ個人に関する他の法人等の連絡先住所も全て自動的に変更されます。逆に言えば、会社ごとに異なる連絡先住所を登記することはできません。
Q. 個人株主ですが、新制度に移行する前に自宅以外の住所を登記することはできますか。
A. 株主であると同時に、シンガポールで登記される何れかの法人等の役員に就任している場合は、新制度に移行する前に役員として自宅以外の住所を登記すると、株主としても自宅以外の住所が自動的に登記されます。役員に就任しておらず、自宅以外の住所の開示を希望する場合は、新制度の導入後に秘書業務代理人に依頼してください。
新制度の導入に伴い、2024年12月4日(水)午後8時から12月9日(月)午前8時まで、ACRAの登記システムであるBizfile+が停止します。この期間中、ACRAへの一切の登記はできませんので、ご注意ください。