東京・神楽坂にあるミシュラン一つ星レストランのオーナーシェフの元で修行した後、麻布、銀座のイタリアンレストランで経験を積み、2006年に妻の仕事の都合もあり香港へ。現地のイタリアンと日本食レストランで3年半働いた後に転機が訪れる。勤め先の客だった投資家から、日本人シェフの繊細さを生かした新しいコンセプトのイタリアンレストランをシンガポールで開きたいと誘われたのだった。「自分にとって大きなチャンスだと思い、シンガポールに行くことを決めました」
2010年に来星し、イタリアンレストラン「L’OPERETTA」など3店舗の立ち上げ、運営に携わった。シンガポールで働く傍ら、地元のサッカークラブで子供達にサッカーを教えるうちに新たな転機が。クラブのオーナーから、新しくイタリアンの店を開きたいと声を掛けられた。そして今年5月、タンジョンパガーでイタリアンレストラン「LUKA」を立ち上げ、現在はダイレクターシェフとして、調理のみならず社員教育など幅広い業務を手がけている。LUKAでは、日本の食材も使った自由な発想のイタリア料理を提供、日本人やシンガポール人らから広く支持されているそうだ。
余暇は子供の頃から親しんだサッカーに興じる。シンガポールの飲食店やサービス業などで働く人を中心にサッカーチームを結成し、営業終了後の深夜や土日の空き時間などを使って汗を流す。かつては仕事一辺倒だったという奥野さんだが、サッカーを通じてLUKAのシェフという新しい道が開けたこともあり、それまで以上に人との出会いを大切にするようになったという。
多くの人とふれあいながら、シェフとしてさらなる成長を目指す。「LUKAを、おいしいイタリアンがいつでも気軽に食べられる店にしたいです。そしていつの日か、世界にひとつしかない自分だけのオリジナル料理を作り出したいと思っています」