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ワンランク上の空の玄関口「CIPターミナル・ジェットキー」

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世界の空港ランキングで過去2年連続1位に選ばれたチャンギ空港※1。しかし、3棟のメインターミナルとは別に、小さなターミナルが併設されていることはあまり知られていません。ベテランのタクシー運転手でも、ピンとくる人は少ないようです。ターミナル2に隣接した建物は、その名も「CIPターミナル・ジェットキー」、厳しいセキュリティゲートに守られていました。CIPとは、Commercial Important People(商業的重要人物)の略。隣にある政府要人専用のVIP施設(VIP Complex)とは違い、ビジネスリーダーやセレブリティ等、いわば富裕層向けのターミナルです。プライベートジェット機はもちろん、一般旅客機の乗客も利用できます。

※1: 英スカイトラックス社

利用者の航空会社も座席クラスも関係ない、ユニークなコンセプト

 

スクリーンショット 2015-07-01 12.03.002006年にフランスと中国の企業の合弁会社、ジェットキー(Jet Quay)社により開設されたこの施設は、利便性やプライバシーを重要視するエリート層のための、アジア初の独立型でラグジュリーなターミナル。空港に数ある航空会社などの専用ラウンジとは違い、事前に予約して利用料を払えば、航空会社や座席クラスに関係なく利用可能です。専用カウンターでのチェックインから通関はもとより、搭乗ゲートまでリムジンまたはバギーでの案内、必要なら免税店で買い物代行も可能と、なんとも至れり尽くせりのサービス。

 

 

オープンから数年は、高い価格設定に金融危機が重なり、決して好調なスタートとは言えなかったそう。その後、価格の見直しや会員制の廃止、さらに経済回復基調に乗って2010年頃から利用者が増加。今では毎日約100〜150名のゲストが利用しているそうです。

 

 

 

全てのゲストにファーストクラスサービスを

表の道路からは見えにくいこのターミナルの外観は一見地味ですが、一歩建物に入ると、まるで高級ホテルのロビーのよう。噴水や彫刻など、重厚で落ち着いた雰囲気が漂っています。混雑とは無縁のターミナル内には、シャワーや仮眠室、ビュッフェ、バー、ミーティングルームなど、リラクゼーションからビジネスまで必要な施設を完備。フライト前後の時間を有意義に、そして快適に過ごす事ができます。

 

 

紳士的な振る舞いでラウンジを仕切る、スーパーバイザーのエドワード・チェンさん(62)は、引退するまでシンガポール航空で長年フライトアテンダントとして活躍していました。世界一と言われるチャンギ空港の、更にハイクラスなターミナルでのサービスについて、「ここでは搭乗クラスに関わらず、全てのゲストにファーストクラスのおもてなしをします。ゲストの名前を覚えて声をかけ、それぞれのゲストのニーズに応える専用のサービスを提供しています。それだけの対価(施設利用料)を頂いていますから」と誇らしげに語ります。気になるお値段は非公開ですが、1回の利用料はサービス内容によって数百Sドルから1,000Sドルを超える範囲だそうです。年会費などはなく利用回ごとに支払うスタイルで、幅広い顔ぶれのゲストに利用されています。

 

 

 

手頃な価格で寛げる新ラウンジ 「ザ•ヘイブン」

 

CIPターミナルはさすがに高級すぎるという方もご安心を。今年2月にターミナル3の到着エリアに、一般客向けのラウンジ「ザ•ヘイブン」がオープン。出入国審査場の外の公共ゾーンにある唯一のラウンジで、シャワー(14Sドル)や仮眠室(シャワー利用可、3時間で60Sドル)などを誰もが手頃な値段で利用可能。早朝に到着してすぐホテルにチェックインできない旅行者などに重宝されています。

 

 

世界有数のハブ空港であるチャンギ空港は、玄関口として国際都市シンガポールの第一印象を決める「顔」の役割を果たします。そんな空港での様々な試みは、ファーストクラスのビジネスリーダーであれ、格安航空での旅行客であれ、訪れる人を今後も暖かく迎え入れ、快適な空間を約束してくれる事でしょう。