2010年9月6日
インディペンダント・ビジュアル誌『WERK』の手触り
『WERK No.18: Keiichi Tanaami PSYCHEDELIC VISUAL MASTER』
最新号のWERKマガジンは、日本の巨匠アーティスト田名網敬一とのコラボレーション。現在ラサール芸術学院で開催中の「Eccentric City – Rise and Fall」展で、シンガポールのデザイン/アーティスト集団、:phunkと巨大なインスタレーションを披露している田名網さんですが、田名網さんのアーティストとしての原点、その歴史でもある数百点ものスケッチをテセウスに託し、幾度ものやり取りを経て、展覧会の開催に併せて完成されたものです。「スケッチを手渡された時、まるで田名網さんの内面に直に触れたような気持ちでした。読者にもそんな気持ちを共感して欲しかったのです」とテセウスは愛しそうに『WERK No.18』のページを捲ります。今回の表紙は、田名網さんのスケッチに使われたであろうパステルやクレヨン、チャコールで、本の表面全体に色が塗られたカラフルなもの。一冊一冊手作業んで塗り込まれた画材の生の手触りが田名網さんの世界へ繋げてくれるようです。
次号の『WERK』の発行日は未定。毎回のことながら、全身全霊をかけて作り上げるテセウスとWORKのデザイナー達は、「今は18号を世に送り出してほっとしているところ。次の出会いやアイディアを焦らず待ってから次号に取り組むつもり」といいます。彼らは我々を再び驚かせてくれる『WERK』を世に送り出してくれるでしょう。
※『WERK』は、紀伊國屋シンガポール本店(ニーアンシティ3F)で取り扱っています。
文= 桑島千春
写真=Eugene Chan
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.174(2010年09月06日発行)」に掲載されたものです。