何気なく手に取った本に魅せられて、時間が経つのを忘れて読む。そんな経験はありませんか?ジャンルを問わず、本には人を夢中にさせる力があります。そして、今の自分に刺激と指針を与えてくれます。新しい年を迎えてちょっと身が引き締まる今こそ読書。12名がおすすめする本を紹介します。
協力:シンガポール紀伊國屋書店 www.kinokuniya.com.sg
髙橋 健司さん おすすめ
『ブレトンウッズの 闘い ベン・ステイル 著 小坂恵理 訳(日本経済新聞出版社)』
欧州戦線が連合国の勝利に向けて急展開した1944年7月、米国東海岸ニューハンプシャー州の避暑地ブレトンウッズで第2次世界大戦後の新秩序構築を目的とした国際会議が開かれました。世界の覇権を巡って大英帝国と米国が同会議で火花を散らす様子を、両国の実質的な代表であるケインズとホワイトに焦点を当て描いた本著は、冷徹な国際政治の裏側の驚くほど人間臭いドラマを描き出しています。ここ数年高まる一方の、米国と中国のせめぎ合いも、舞台裏は斯く有りや、と想像させる1冊です。
一般財団法人自治体国際化協会
シンガポール事務所(CLAIR, Singapore) 所長
橋本 憲次郎さん おすすめ
『リー・クアンユー、 世界を語る グラハム・アリソン、 ロバート・D・ブラックウィル、 アリ・ウィン 著 倉田真木 訳 (サンマーク出版)』
2015年はシンガポール建国50周年、また、建国の父リー・クアンユー氏が亡くなった年でもありました。この50年間の首相は3人だけであり、彼らの洞察力と戦略がこの国を世界有数の都市国家に育て上げたと言えます。自らの経済面での内需や安全保障の能力には限界があることから、世界全体の動向を見据えることは必要不可欠でした。本書では、リー・クアンユー氏が世界をどのように見て、未来をどのように考えていたかが大きな切り口で描かれています。新年にあたり、来し方行く末を考えるきっかけにいかがでしょうか。
Japan Creative Centre (JCC) 所長
伊藤 実佐子さん おすすめ
『マララ 教育のために立ち 上がり、世界を変えた少女 マララ・ユスフザイ、 パトリシア・マコーミック 著 道傳愛子 訳 (岩崎書店)』
女子にも教育を、と主張したがために、タリバンに銃撃された少女マララ。国連本部で大人顔負けの立派な演説をした16歳の少女の目は、その言葉以上に力強かった。この本は翻訳を手がけた道傳NHK解説委員から頂いた。笑いに満ちた家庭で育った利発な少女が、「教育を受ける権利」のために「自分の身体は撃たれても、夢は撃てない」と語り、ノーベル平和賞を受賞。日本では起こりえない現実だが、では「我々は何が出来るのだろうか」を考えてさせてくれる本だ。漢字にふりがなも付いた平易な文章で、安全なシンガポールで通学する子供たちに薦めたい。
倉敷芸術科学大学芸術学部 非常勤講師
手塚 祐基さん おすすめ
『英雄の書 黒川伊保子 著 (ポプラ社)』
仲間と夢を語り合う時代から、使命を成し遂げるために行動する時代に変化しはじめた2016年は、英雄(ヒーロー)が生まれる時代! ヒーロー? 自分とは関係ないと思っていませんか? 他人ごとではなくてヒーローは、あなたですよ。できるかできないかを決めているのは、あなた自身。自分を低く見積もるなと激励してくれるのが、この本。失敗したことや悔しい思い、そんな経験が脳を進化させ「本物の自分」に。くじけてぼろぼろになったら、旅の衣を整えて、また歩き出せばいい。さあ、この本を指南書に、一人一人のヒーローへの旅に出ましょう!
Vice President
藤田 勇人さん おすすめ
『マーケティング の基本 安原智樹 著 (日本実業出版社)』
現地化を推進するのは駐在員の一つの使命と思います。そのスタッフレベルも様々であり、現場スタッフよりも時にマネジメントクラスの教育のほうが難しい場合が多々あります。この本はあるスタッフにマーケティング活動を教えるべく、参考書として手に取りました。図解もあり、マーケティング活動の流れがわかりやすく理解できます。現地スタッフにもその図解を利用して説明しました。基本的なことほど、説明が難しい場合があります。マーケティングについての基本を知るには、おすすめの1冊です。
ピラティスインストラクター、医師、医学博士
曽根﨑 桐子さん おすすめ
『日本人だけが 知らない 戦争論 苫米地英人 著 (フォレスト出版)』
ヘルスケア業界という、金融や政治とはやや遠い分野で働いてきた私にとっては、驚きの内容の本。金融資本家が民衆を煽って戦争を起こすという事象は、現代ではあり得ることかと想像はつくものの、歴史で習ったあの戦争にも、実はそういった仕掛けや陰謀が!? 今は日本がいつあらゆる争いに組み込まれてもおかしくない……。漠然とした危機感はあるものの、おそらくは表面的なことしか見ていない私には、良い刺激でした。ネットにある情報や世論に流されやすい方にもおすすめの1冊です。
株式会社オオツキM 代表取締役
大槻 智之さん おすすめ
『売上げが上がる ほめる基準 原邦雄 著 (商業界)』
“ほめ育(ホメイク)”という名称から「教育本」と思われるかも知れませんが、本書は経営者やリーダーが読むべき“ビジネス書”です。なぜなら、「ほめる行為」を推奨するという単純なものではなく「売上を上げる社員に育てる」“ほめる技術”を教えてくれるからです。世界150社の業績アップと5万人以上の成長に貢献している本書の目的は「売上を上げる」ことですが、家庭教育からスポーツまで応用できる技術がたくさん詰まっています。新年にふさわしいポジティブに“ヒト”を戦力化する“ほめ育”にヒントを求めてはいかがでしょうか?
轟 由佳利さん おすすめ
『モリー先生との 火曜日 ミッチ・アルボム 著 別宮貞徳 訳 (NHK出版)』
毎日毎日時間はふさがっている。そんな忙しい人に読んでもらいたい本です。「忙しい」という文字は「心を亡くす」と書くので、言葉の力を信じる私は、なるべくそうならないよう心がけてはいるものの、目の前のことに流されることがあります。そんな時、帰ってきたくなる本。本書のテーマは人生の意味について。どんな心を亡くさずにいたいか。どんな心で生きていたいか。死という本来は誰もが持っていて、だけど普段は忘れているデッドラインを意識したとき、本当に大切だと気づくヒントや言葉がぎゅっと詰まった本です。
Deputy Managing Director
岡部 雅仁さん おすすめ
『思うまま 松下幸之助 著 (PHP研究所)』
松下幸之助氏の名著『道をひらく』の続編にあたる本書。“心を鍛える”、“道を定める”、“仕事に学ぶ”、“日本を考える”等々、職業人としての心得がふんだんに詰まった1冊です。 海外にいるからこそ先人が築いた日本人の根底に流れる価値観、職業観を大事にしながら生きていきたいと思う今日この頃。人生の拠り所となる“言葉”が詰まっている本書、年初の1冊としていかがでしょうか。今年が皆様にとって、良い年になりますように。
下川技術士事務所 所長
下川 眞季さん おすすめ
『起業1年目の 教科書 今井孝 著 (かんき出版)』
起業家1年生は勿論のこと、2016年に新しいビジネスに挑戦しようとする起業家上級生にもお勧めの1冊。新しい事を始める上で一番ネックになる事。それは失敗への恐怖! 私も起業家6年生ですが新しい挑戦に躊躇していました。何年たっても失敗は怖い!そんな時に出会った『失敗の回数を決める』という逆転の発想!この本はマニュアルではありません。実践的な取り組み姿勢を具体的に一つずつ分解して示してくれています。はじめの一歩から階段をのぼっていくと、あれッ? いつの間にか出来てた! という感覚がつかめる本。是非ともお試しあれ!
リーダーズアカデミー 学長
嶋津 良智さん おすすめ
『「成功の型」 を知る 起業の技術 浜口隆則 著 (かんき出版)』
これから起業する人にとって、1からのノウハウが記載されています。特に組織づくりの考え方におけるチームビルディングの有り様は大変参考になります。最初に、経営とは何か、経営の要素と構造などの理論の説明から始まり、次に、実際に経営に必要な力について分かりやすく説明しています。読み進めるうちに、納得しながら経営の基礎力がついていくことと思います。1月という年明けのタイミングで起業をする方が多いと思います。起業する人、すでに起業している人にも役立つ実践的な内容でとても参考になるおすすめの1冊です。
和書課 セクションチーフ
窪園 由希さん おすすめ
『会社でビリの サラリーマンが 1年でエリートに なれるかも しれない話 林雄司 著 (扶桑社)』
抱腹絶倒の娯楽系ウェブサイト「デイリーポータルZ」の編集長による、ビジネスサバイバル術が満載の1冊です。これさえあれば憂鬱なプレゼンを乗り切って、最低限の努力で人を動かせること間違いなし!(と、本書にはあります)。特にオススメしたいのが、雑談→ブレスト、理想→ビジョン、やり直し→再考、など、おかしなことをもっともらしく説明するための「かっこいいビジネス用語集」です。いつどのページを開いても笑ってしまうくらい面白すぎて説明しきれないので、ぜひ当店にてお問い合わせください。その場で私が笑い出してしまうかもしれませんが。