2016年2月1日
『奴隷のしつけ方』マルクス・シドニウス・ファルクス 著
ショッキングな書名ですが、内容もその通りの本。古代ローマ貴族が親切にも奴隷の正しいしつけ方を指南してくれるというもの。トンデモ本というようにも見えますが、さにあらず。ケンブリッジ大学の古典学研究者が書いた、といえばそのまっとうさが少しは伝わるでしょうか。帯にも刺激的な言葉が並びます。奴隷は若いやつに限るとか、管理職にするなら顔の良い男は避けろといった具合。極端な例をとった、現代社会を映し出す鏡のように、組織の中での生き方を考えさせてくれる本ともいえましょう。突き抜けたおかしみは、2~5ページの著者と解説者の挨拶ですぐわかります。組織で働く人は必読! の書です。
講談社 ISBN:4778314751 978-4778314750
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.296(2016年2月1日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 河合