2018年3月27日
イーシュン
郊外のベッドタウンと言ったイメージが強いイーシュンであるが、実は、自然を多く残し、土地がふんだんに使える環境であるため、意外と老若男女が楽しめるアクティビティ施設が多い。シンガポールの都会的な日常に飽きた人や、子供を連れて行く場所のネタがつきたという人、さらなる刺激を求める人にチェックしていただきたいイーシュンを紹介する。
現代にカンポン精神を残す街
イーシュンの街は、現在ロウアーセレター貯水池がある辺りの土地が、19世紀の終わりごろからプランテーションとして開発されだし、そこでの仕事を求めて中華系の人々が集まり住み始めたのを起源としている。周辺エリアの中心地となっていたイーシュンに、戦後になって大きなマーケットができ、人口が集中し始める。1960年代に入るとインフラが整いだし、トタンやヤシの葉を使った建物は頑丈なショップハウスに建て替えられた。さらに1976年から政府による本格的な開発が始まり、熟考された都市計画に基づいてマーケット、ショッピングモール、学校、病院などの施設、そして2つのMRT駅にバスインターチェンジの設置により、イーシュンは便利の良い現在の姿へと変貌する。加えて、2018年初旬、以前からあった駅直結のショッピングモールNorthpoint Shopping Centreが拡張され、飲食店100件を含む計400ものテナントを誇り、最新設備を取り入れた図書館やコミュニティークラブも入ったNorthpoint City(写真①)として再オープンした。
近代化し利便性が高まる一方で、イーシュン駅のほど近くには、Chong Pang Marketを含む、古くからある商店と複数のフードセンターからなる昔ながらのショッピングエリアChong Pang Cityがあり、変わることなくにぎわっている。また、イーシュンのHDBには、付近が村であった時代から長く住み続け、互いを見知ったお年寄りが多いため、ボイドデック(共有スペース)にはポットとお茶のセットや象棋(シャンチー)の盤が常備され、住民たちが毎日のように顔を合わすリビングルームのようになっているようなところもあり(写真②)、昔ながらのカンポン(村)精神を持ち続ける人々の暮らしが垣間見れるという一面もある。