名前の通り、物語には鉄道がでてきます。印象に残ったのは、「ムシヤシナイ」という短編。駅そばを営むおじいちゃんに、ひさしく会えなかった孫が訪ねてくる話です。やさしい関西言葉と、おじいちゃんの気遣いが心に響きます。題名になっている「ふるさと銀河線」、本当に北海道にある路線なのですが、その駅のひとつ、陸別が舞台になっている物語が2編。寒い冬の澄んだ空気と星空、景色の描写はさすがのひと言。陸別にきっと行きたくなるはずです。また、実際に作ってから書かれている料理の数々は、胃がきゅっとなるくらいおいしそうです。
全体に冬の話が多く、今が読み時、旬の本です。日本を思い出しながら、年末年始のお休みにいかがでしょうか。
双葉社/ISBN:9784575516302