昨年、シンガポール取引所(SGX)からの上場廃止で失われた企業時価の合計は120億Sドル(約1兆57億円)で、新規上場で創出された時価合計(87億Sドル(約7,291億円))を上回った。今年の新規株式公開(IPO)は堅調が予想されるが、上場廃止の流れも続く見通しだ。
アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると、買収・合併の動きが盛んなことや、上場企業を買収できる資金の存在が上場廃止の要因だ。
中国企業が海外業務の拡大を狙い買収に乗り出すケースが多く、昨年は物流の領域における3つの案件に中国資本が絡んだ。
グローバル・ロジスティクス・プロパティーズは中国資本の企業連合に、CWTは中国系HNAグループに買収された。中国系海運のコスコ・シッピング・インターナショナルはコジェントを買収する。
法律事務所TSMPロー経営者のティオ氏は「一種の成功物語。新興企業から上場企業に成長したという成功に投資家が目を付けたということ」と語った。
上場経費の値上げ、面倒な順守規定もSGXからの上場廃止が増加した理由、との指摘もあるが、SGXは資金調達の場としての魅力を保持しているとの声も根強い。
今年上場が予想されるのは、イタリアンレストラン経営のパスタマニア、海産物加工のファスラー・グルメ、非公開株投資のクリスタル・ジェード・グループが出資する企業など。