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シンガポール産業転換マップ、共通部分に注目し相乗効果を実現

ヘン・スイーキアット財務相は31日、経済政策に関するフォーラムで、経済構造の改革を促進する産業転換マップ(ITM)が23部門すべて出そろった後は、部門間の共通部分に注目し、相乗効果の実現を図ると表明した。横のつながりのない、融通性のない垂直的計画にはしないという。

 

技術の進歩で産業部門間の境界があいまいになっており、ヘン氏は一例として金融と技術の融合の結果、フィンテック(革新的金融技術)が生まれたことを取り上げた。政府は小売業と不動産業の融合を検討している。

 

部門別ITMは企業のニーズに応えていない、との批判があることについてヘン氏は、食品製造の領域で複数社が高圧調理施設の共有に乗り出したケース、バクテー(肉骨茶)、ココナツミルクを材料に加えたラクサクッキーなどシンガポール特有の食品を複数の企業が共同で海外に売り出した例を取り上げ、こうした企業の能力向上、海外進出にITMは役立ったと述べた。

 

その上で「経済領域の政府機関の仕事はビジネスに乗り出すことではなく、企業の手助けをすることだ。企業が政府機関に事業計画の策定を期待し、計画に沿って実行するのでは成功はおぼつかない」と強調した。

 

質疑応答の時間では首相後継に関する質問があった。ヘン氏は有力候補だが「首相とは抜きん出た存在」と述べるにとどまった。