政府は新たな決済手法である「ペイナウ」を企業も利用できるようにする。ビビアン・バラクリシュナン外相(スマート国家イニシアチブ担当大臣)が予算委員会で明らかにした。
企業には固有の加入者番号(UEN)を割り当てる。企業はUENを銀行口座と連動させることでサービスを受けられる。
企業向けサービスの名称は「ペイナウ・コーポレート」。シンガポール銀行協会(ABS)によると、取引相手の口座番号が分からなくても送金、代金受け取りが可能なサービスだ。相手の携帯電話番号、身分証明書番号(個人の場合)、UEN(法人の場合)が分かれば送金できる。
ペイナウ・コーポレートは8月頃に運用開始の見通しで、企業間(B2B)取引、企業対消費者(B2C)取引の両方に利用される。
ペイナウは個人向けには昨年7月からサービスが提供されており、70万人が加入し、取引は累計200万件を記録した。
政府機関もペイナウを利用する。教育省は奨学金の支払いに、中央積立基金(CPF)は積立金引き出し請求の支払いに使う。
政府はQRコードの統一規格も計画するなど社会のIT(情報技術)化を進めており、ビビアン氏は「取引コストの引き下げが目的だ。結果的にシンガポール経済の競争力が増す」と述べた。