2018年5月31日
シンガポール、昨年の実質賃金は3.2%増加、過去5年で最小
人材開発省は5月30日、昨年の実質賃金は3.2%(前年は3.6%)増加したと発表した。過去5年で最も小さい増加幅だ。物価上昇を考慮しない名目賃金上昇率は3.8%(同3.1%)だった。
昨年は消費者物価指数(CPI)が0.6%上昇した。しかし前年はCPIが0.5%下落しており、実質賃金上昇率が名目上昇率以上になった。
エコノミストは今年も昨年同様の傾向を予想している。メイバンク・キム・エン証券のエコノミストによれば、企業の生産性は向上を続ける見通しのため名目賃金はそれなりの増加が期待できるが、石油価格が上昇しており、物価も上昇する可能性が高く、実質賃金上昇率は小幅にとどまるという。
昨年、民間セクターで名目賃金を引き上げた企業の割合は65%(前年は58%)。賃金を引き下げた企業の割合は12%(同17%)だった。
調査を受けたのは、社員数が10人以上の4,900社で、社員の合計は120万人。うち60万人がフルタイムの市民(国民と永住者)労働者、44万人が外国人労働者。残りは、就業1年未満のフルタイムの社員やパートタイム労働者。
基本給が月1,200Sドル(約9万7,000円)未満の低賃金労働者を雇用している企業のうち62%(前年は40%)が、低賃金労働者の賃金を上げた。
名目賃金の上げ幅が最大だったのは製造業。賃金上昇が鈍化したのは運輸・倉庫、管理・サポートサービス、不動産サービス。