シンガポールの第2四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比3.9%の増加で、前期(4.5%増)より鈍化した。通産省は下半期にはさらに減速すると予想しており、通年のGDP増加率予想(2.5~3.5%)を維持した。一方、第2四半期の非石油地場輸出(NODX=石油・再輸出を除く輸出)は9.4%増と好調で、エンタープライズ・シンガポールは通年の増加率予想を1~3%から、2.5~3.5%に上方修正した。
経済の先行きについてロー・クムイアン通産次官は「貿易摩擦がエスカレートし、米国と主要経済国との間で報復合戦が展開される恐れがあり、企業、消費者心理が冷え込み、投資、消費に影響する」と懸念を表明した。
第2四半期GDPのうち製造業生産は10%増加した。サービス業は3%増に減速。不動産市場鎮静化措置の導入でビジネスサービスは低迷が予想される。建設業の生産は4.6%減と低迷している。
貿易摩擦の余波について、アジア・ポリウレタン・マニュファクチャリングのエルマン・タン氏によれば、東南アジアへの輸出で中国企業との競争が激しくなっている。中国の対米輸出が困難になっているため、東南アジアに輸出先を求めているためだ。
第2四半期のNODXは476億Sドル(約3兆8,200億円)で、電子機器輸出が8%減と低迷している。電子機器以外の輸出は17%増で、食品、土木機器パーツの輸出が増加した。
1~6月のNODXは5.3%増の910億Sドル(約7兆3,000億円)。最大の輸出市場は中国で、148億Sドル(約1兆1,800億円)。2位は欧州連合で113億Sドル(約9,000億円)、3位が米国で106億Sドル(約8,500億円)。
石油輸出、再輸出を含む上半期の貿易総額は6%増の5,025億Sドル(約40兆3,500億円)で、中国が最大の相手国。