アフリカに進出したシンガポール企業は約60社と2010年のほぼ2倍に増えた。しかし昨年との比較ではほとんど変わらず、アフリカへの投資がブームになるほどの状況にはない。
進出を果たした企業も成功には時間がかかるようで、ナイジェリアに進出したオンラインマーケットの製作支援会社、アルカディアのケネス・ロー氏によると、行政との折衝、輸送手段の確保などは時間のかかる作業だという。
南洋理工大学アフリカ研究センターのバーガー所長によると、シンガポールは東南アジアという巨大市場を目と鼻の先に持ち、地域に対する理解も深い。一方、シンガポール人のアフリカ各国に対する理解は浅く、リスクも分からないため、進出する企業が増えない。
しかし成功例もある。トララム・グループは30年前に即席めん「インドミー」をナイジェリアに持ち込んだが、20年前は国民の即席めん消費量は1年に1袋だった。しかし現在では20袋で、アフリカ法人社長のハレシュ・アスワニ氏は「麺食の習慣はなかった。麺市場の創出に12年を要した」と語った。
ウエル・アンド・エーブル・ホールディングスはプレハブ建材技術を持ち込んだ。技術が受け入れられるまでに時間がかかったが、モーリシャスで10年前に大型ショッピングモールを建設し、その後はウガンダ、南アフリカに参入。プレハブ建築に対する理解も深まっているという。