シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)のラビ・メノン総裁は、フィンテック企業の監督の枠組みである決済サービス法案の策定作業を進めていると明らかにした。来年にも施行の計画で、フィンテック業の健全な発展を図る。
ラビ・メノン氏によれば、1日の現金流動性が平均500万Sドル(約4億800万円)超のモバイル財布運営業者は、その資金が危険にさらされないよう安全確保を義務付けられる。フィンテック業者はまた、流動している資金を貸し付けることはできない。
中国ではフィンテック業者に対し資金の安全確保の義務を課していない。利用客が支払った金銭を貸し付けに利用し、利益を得るなど、銀行と同様のサービスを提供している業者が存在する。
大手フィンテック業者は銀行の領域に踏み込んでおり、銀行業界の幹部は、フィンテック企業は規制が緩く、デジタル技術を武器に銀行からシェアを奪っていると感じている。
フィンテックがもたらすリスクが、銀行がもたらす可能性のあるリスクの100分の1であるなら、銀行と同じ規制をフィンテック業者にかけることはできない、というのがMASの基本姿勢だが、資金洗浄対策とサイバーセキュリティーに関しては銀行と同様の規制を適用する。銀行同様、小規模の決済業者も資金洗浄に利用される恐れがあるためだ。