シンガポール企業の間でベトナムへの投資意欲が再び高まっている。ベトナムが外国企業の関心を集めたきっかけは2007年の世界貿易機関(WTO)への加盟だった。外国から多額の直接投資がなされたが、投資が成果を見る前に米国発の金融危機が発生した。
ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO、本部・シンガポール)によると、シンガポールではその後2011年から14年にかけ景気が悪化し、外国への投資意欲が衰えた。
しかしここ2、3年、シンガポール経済は好調で、ベトナムの中所得層が増加し、米中貿易戦争でベトナムが恩恵を受ける可能性も高く、ベトナムへの関心が再び高まっているという。
ベトナムの昨年の経済成長率は6.8%と高く、通貨ドンは過去4年間、安定している。新法制定で投資環境が改善しており、汚職も根絶が図られている。自由貿易指向が強いのも優位点だ。
ベトナムは欧州連合(EU)、韓国と自由貿易協定を交わしており、豊富な高技能労働者、中国との地理的近さなどから、米中貿易戦争で恩恵を受ける見通しだ。
シンガポール企業では不動産大手のキャピタランドが1994年に進出、外資系デベロッパーでは大手の1社に名を連ねる。警備会社のアデムコも顧客のベトナム進出の後を追い、拠点を設けサービスを提供している。