2019年2月19日
歳出は8百億ドルの拡大予算、赤字は35億ドル
ヘン・スイーキアット財務相は2月18日、4月から始まる来年度予算案を国会に提出した。歳出は今年度比1.6%増の802億5,000万ドル(約6兆6,094億円)、歳入は1.7%増の749億ドル(約6兆1,051億円)を見込んでいる。基礎収支は約71億ドル(約5,787億円)の赤字。移転、政府系企業からの投資収リターンなどを含めた総合収支は約35億ドル(約2,853億円)の赤字で、国内総生産(GDP)比で0.7%。アナリストによれば、政府には140億~150億ドル(約1兆1,411億~1兆2,227億円)の剰余金があり、赤字を補って余りある。
歳出では、保険、国防、環境・水資源省の予算を増額した。保健省の歳出は約117億ドル(約9,537億円)で、診療・入院補助の増額、情報技術プロジェクト推進などが行われる。
国防省の歳出は4.8%増の154億7,000万ドル(約1兆2,610億円)。運輸省の歳出は9%減の約107億ドル(約8,722億円)。クアラルンプール・シンガポール高速鉄道(HSR)の凍結が影響した。
歳入では、法人所得税と物品・サービス税(GST)は増加を見込んでいるが、印紙税は減少の予想だ。政府系企業からの投資リターンは4.5%増の172億ドル(約1兆4,020億円)を見込んでいる。
今年度(18年4月~19年3月)の予算執行は、当初見込みの6億ドル(約489億円)の赤字ではなく、21億ドル(約1,712億円)の黒字になる見通しだ。HSRの延期と、予想以上の印紙税収入が理由だ。
ヘン財務相は国土の安全を確保する必要性について「平和、繁栄、安定を当然のことと思ってはいけない。安全を守るための投資が必要で、歳出の30%を国防、安全保障、外交に配分する理由だ」と語った。
経済全般について、産業転換計画は成果が上がりつつあるという。既に23部門の転換計画に着手しており、生産性は過去3年間、年3.6%改善したという。
政府はこの先3年間で企業、労働者の能力向上に46億ドル(約3,750億円)を計上する。36億ドル(約2,934億円)が労働者向け、10億ドル(約815億円)が企業向け支援だ。