法務省は最高裁判所の機構を改革する方針だ。上訴裁判が近年増加し、審理負担が急増しているためだ。
シンガポールの裁判制度は最高裁判所と下級裁判所で構成。最高裁は高等裁判所と上訴院である控訴裁判所からなる。高等裁判所は控訴審としての管轄だけなく、一審裁判所としての管轄も有し、知的財産権侵害訴訟など一定額を超える訴額の民事裁判では高裁が第一審。
エドウィン・トン法務担当閣外上級相によると、控訴裁判所に昨年上げられた訴訟は490件で、2013年より56%多い。シンガポールが商事紛争の国際解決センターとして機能していることも訴訟増の要因だ。
法務省は、控訴裁判所とは別個の上訴裁判所を新たに設けることを検討している。現在の控訴裁判所がシンガポール最上位の裁判所との地位を保ち、主に憲法、法定侮辱、シンガポール国際商事裁判所案件など、個人や社会に重大な影響を及ぼす事件を扱い、また上告審として機能するという。
このほかの上訴案件を新たな上訴裁判所が審理することになるが、判決に不服の場合、最上位の控訴裁判所への上告も可能にする。
シンガポール経営大学法科学院のゴー・イハン院長は「上訴裁判所の新設で控訴裁判所は審理により時間をかけることができる」とコメントした。