2019年4月24日
バンダル・マレーシア再開、中国企業が巨額投資へ
マレーシアが中国資本を活用して大規模な都市開発計画を再始動する。マハティール首相は4月19日、「バンダル・マレーシア」の開発計画を進めると発表。中国企業と組成するコンソーシアムを母体として、建設に乗り出す方針を打ち出した。
開発エリアの総面積は197万平方メートル。クアラルンプール市内のスンガイベシ空港跡地に公共公園、廉価住宅1万戸などを整備する。総額1400億リンギ(約3兆7800億円)の投資規模を想定した。
バンダル・マレーシアの計画は、事業費の支払いをめぐる問題が浮上。ナジブ前政権時代の2017年にいったん中断されていた。
当初はマレーシア政府系ファンドのワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)が計画を策定。1MDBを巡っては、複数の不正が指摘されてきた。1MDBは15年12月31日、バンダル・マレーシアの権益60%をマレーシア企業と中国国有・中国中鉄股フンの合弁会社に売却。71億1000万リンギで譲渡し、負債を圧縮した。バンダル・マレーシアに対する出資比率は、マレーシア企業と中国中鉄の合弁会社が60%、マレーシア政府が残り40%となっている。
資本が潤沢な中国にマレーシアは接近するスタンス。マレーシア政府は今月12日、凍結していた東海岸鉄道(ECRL)建設を再開すると発表した。建設コストをめぐる中国交通建設との再交渉で、一部路線を変更して総延長を40キロメートル縮小し、建設費を当初計画の655億リンギから440億リンギに3割下げて進めることで合意した。5月にも建設を再開する見通し。26年12月の完成を目指す。
この案件はナジブ前政権時代に決まり、中国交通建設が17年に着工した。ただ18年5月に誕生したマハティール新政権が財政難を理由に一度凍結。その後の再交渉でマレーシア側はコストを抑える内容での工事再開を目指していた。完成すればマレー半島東部の発展に寄与するとともに、中国の習近平国家主席が進める広域経済圏構想「一帯一路」の実現を後押しする。
(提供:亜州ビジネスASEAN)