2019年5月9日
フェイクニュース取り締まり法案を承認、野党は反対
国会は2日間にわたる討議を終え、5月8日夜10時過ぎ、オンライン上のうその情報を取り締まる「オンライン虚言・操作防止法案」を賛成72、反対9で承認した。反対票を投じたのは野党・労働者党(WP)の議員。指名議員のうち3人は棄権した。
同フェイクニュース法ではオンライン上の情報について、虚言であるかどうかを判定し、必要な措置を取る権限を閣僚に与えている。閣僚は虚言であると判断すれば、その文章の削除、または訂正の掲載をプラットフォーム運営者に命じることができる。
WPは、閣僚ではなく裁判所が虚言かの審判を下す機関であるべきと主張。政府は政府批判者を押さえつけることに乱用可能な、政府に都合の良い法案を作成したと主張した。
法案の趣旨説明に当たったシャンムガム法相兼内相は、インターネット上の虚言は数分間で拡散し、害を与えることがあるが、虚言がネット上に出るたびに、裁判所が数時間以内に嘘かを判断し、対策を命じることができる保証はないと反論した。
フェイスブックのアジア太平洋地域幹部サイモン・ミルナー氏は、ロイターの取材に対し「彼らがうそとみなしたコンテンツの削除をわれわれに強制し、政府の公告文をユーザーに押し付けることのできる、行政に大きな権限を与えた法律だ」と懸念を表明した。リー・クアンユー初代首相の住居の処分をめぐり、息子であるリー・シェンロン首相と妹、弟とのあつれきが起き、フェイスブックが弟らの主張展開に使われたいきさつがある。
法違反に問われた場合、最長10年の禁錮刑あるいは最高100万Sドル(約8,082万円)の罰金を科せられる。