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経済

2019年7月3日

インド向けパーム油輸出、関税高くマレーシアに遅れ

 
 インドへのパーム油輸出で、インドネシアはマレーシアに遅れをとっている。インドと二国間の自由貿易協定(FTA)を結んでいるマレーシアのパーム油には低い関税が課されているためだ。ジョコ大統領は先週末のジャカルタポストとのインタビューで、インドにおける20%の市場シェアを失わないためにも、政府が対応に乗り出す必要があると危機感を募らせた。同メディアが1日付で伝えた。
 
 インドネシアパーム油生産者協会(Gapki)によれば、同国の昨年のパーム油輸出は3200万トンで、前年の3100万トンから増加。ただインドへの輸出は13%減の670万トンに縮小した。今年1〜5月もインド向けは前年同期比12%減の180万トンと落ち込んでいる。
 
 インド向け輸出の低迷は、競合のマレーシアよりも関税が高いことが一因。インドネシアのパーム原油には44%、パーム油製品には54%の輸入関税が課されているが、インドと2国間FTAを結んだマレーシアの商品にはそれぞれ40%、45%と低い関税が適用されている。
 
 ジョコ大統領は、「インド・東南アジア諸国連合(ASEAN)FTAのみ活用していては競争に打ち勝てない。インドとの二国間FTA締結を目指す」と述べた。ただしインドとの二国間FTA締結については、インドからの砂糖が大量に流入することが予想されることから、インドネシアの砂糖業界が猛反対している。
 
 インドネシアはトルコへのパーム油輸出でもマレーシアに敗れた。2012年には60万トンを輸出していたが、昨年は4万トンに激減。トルコとは特恵貿易協定(PTA)交渉を進めていたが、トルコの小麦が大量に流入することを恐れたインドネシアの小麦業界が猛反発し、締結には至らなかった。一方でマレーシアはトルコとFTAを締結し、今ではトルコのパーム油市場でマレーシア産はインドネシア産より10%割安になっている。
 
 インドネシアはパキスタンとのPTAでもオレンジの輸入を懸念した業界が猛反対。締結に至らなかった。こうした中でパキスタンはパーム油の輸入元をインドネシアからマレーシアにシフトしている。
 
 インドネシアはパーム油生産で世界1位。ただ輸出競争で生き残るためには、巧みな戦略が必要となっている。
 
(提供:亜州ビジネスASEAN

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