シンガポールへの最大の海砂の供給国であるマレーシアが昨年10月、シンガポールへの輸出を禁止していたことが分かった。マレーシア政府関係者がロイター通信に明らかにした。トゥアス・コンテナターミナルなどシンガポールが推進している埋め立て事業に支障が出る可能性もある。
同筋によると、昨年のマレーシア総選挙を経て首相に返り咲いたマハティール氏は、シンガポールの国土面積を広げる埋め立てにマレーシアの砂が利用されていることを知り、また砂輸出で汚職が絡んでいることから、禁輸を決めたという。
シンガポール国土開発省はロイターの取材に対し「安定的に砂を確保できるよう、複数の国から輸入している」と回答した。砂の輸入を手掛けているシンガポールの貿易業者によると、シンガポールは近年、こうした事態に備え砂の在庫を増やしており、当座の需要は満たせるという。
税関資料に基づく国連統計によると、シンガポールは昨年、マレーシアから5,900万トンの砂を3億4,700万米ドル(約276億円)で輸入した。砂輸入総量の97%に相当する。
マハティール氏は1990年代に首相だった時も海砂の輸出を禁止したことがある。シンガポールはインドネシアから輸入するようになったが、砂採取は環境破壊をもたらすとしインドネシアも2007年、シンガポールへの砂輸出を禁止した。