2019年10月7日
「国は一流、人心は三流」、トミー・コー氏の発言が波紋
ラッフルズ上陸200周年会議でシンガポール国民に対する意見を求められたトミー・コー元無任所大使が「国民の多くは環境に配慮しない。国民の多くは利己的で不親切だ」と発言して波紋を呼んでいるが、同感との意見が多いようだ。
こうした意見の中で好ましくない行動、習癖として挙げられたのは◇シェアバイクの乱雑な駐輪や排水溝への投棄◇ホーカーセンターで食事後、食器を片付けない◇車の運転マナー、などで、技術職のアハマド・ファリドさんは「多くのドライバーが車線変更の際、ウィンカーをぎりぎりに点灯するか、点灯しないこともある」と述べた。
国民のそうした態度について、シンガポール国立大学(NUS)社会学者のタン・アーサー氏は「個人の成功、安楽を強調しすぎた。社会より自分、自分の家族に焦点を合わせることを社会生活の中で習慣づけられたためと思う」と述べた。
一方で、MRT(地下鉄・高架鉄道)駅のホームでは整列乗車や、席を必要としている人に席を譲る行為が一般的になりつつある。指名議員のアンシア・オン氏は「シンガポール人とは、との回答は政府からだけでなく、市民から湧いてくるものでなければならない」とする。
リー・クアンユー公共政策学院のマブバニ元教授は「10年後、どのような社会を望むかを国民は考えるべき。倫理力の注入が必要」と指摘した。シンガポール親切運動のウィリアム・ワン書記長は、日々の生活で他者優先を心がけるのが第一歩、との意見だ。