シンガポール取引所(SGX)は9日、2月7日付で四半期決算の作成・報告義務を廃止すると発表した。同日以降、上場企業は中間期と期末の年2回、決算報告を行えばよい。
上場企業850社のうち、時価が7,500万Sドル(約60億円)超の企業(約600社)は4半期ごとの財務諸表作成を義務付けられているが、時間と経費が掛かるとして廃止を求める声が強かった。
SGXは今後、監査人が財務諸表に疑問を呈した会社など経営リスクを抱える企業のみ、四半期決算の作成・提出を義務付ける。現時点で100社がこの適用を受ける見通しだ。
SGXの監督部門SGXレギュレーションのタン・ブーンジン最高経営責任者(CEO)は「規則を順守している上場企業には負担をかけすぎないようにする。四半期決算の廃止は世界的潮流で、企業は長期目標に焦点を合わせることができる」と説明した。
一方で情報公開はこれまで以上に求める。関係者間取引、資産取得などの重要取引、短期的利益見通しに影響を与える事柄、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある情報は、速やかな開示を求める。
シンガポール事業連盟(SBF)のホー・メンキット最高責任者はSGXの決定を歓迎すると表明。オラム・グループのムトゥクマル最高財務責任者は「四半期報告は費用が掛かるだけでなく、上級管理職の時間も奪う」とコメントした。