2021年3月31日
スタートアップへの投資、東南アジアでトップも政府関与が過剰
起業家育成のためのフォーラム「起業家精神のための行動コミュニティー(ACE)」会合に合わせ、世界銀行グループはシンガポールのスタートアップ(新興企業)育成生態系に関する調査報告を発表した。政府の強力な指導力、市場の変化への対応力、強力な大学群がシンガポールの特徴だという。
ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティー投資で東南アジア首位の座にあり、VCによる投資では14年以降、地域全体の半分強を占めてきた。インキュベーターの数も多く、シンガポールを拠点とする新興企業は3,600社を数える。
WBは、シンガポール政府の支援措置で起業しやすい環境が整備されたが、政府は広範に関与しており、政府依存を助長する可能性があると指摘した。17年実績で、新興企業の69%は政府支援措置を利用していた。
新興企業にとっては有能な人材確保が課題だ。シンガポールの大学制度は優れているが、多国籍企業に人材が流れる可能性がある。外国人労働者雇用規制も障害だ。資金面では、事業初期の段階で得ることのできる資金が世界平均より少ない。
20年にシンガポールの新興企業が調達した事業資金は55億Sドル(約4,525億円)で、19年の85億Sドル(約6,993億円)、18年の143億Sドル(約1兆円)を下回った。