シンガポールがファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の誘致に動き始めた。12日付台湾・自由時報によると、リー・シェンロン首相が経済開発庁(EDB)に誘致を指示。TSMCはリスク分散や顧客の需要などの要素を念頭に検討を進めているという。
情報ソースによると、シンガポール側は既にTSMCに優遇条件を提示した。同社は12インチウエハー工場を設置し、車載半導体を中心に28ナノメートル(nm)や7nmの製造プロセス製品の生産を検討するとみられる。TSMCはシンガポール進出の可能性についてコメントを避けた。
TSMCは20数年前に蘭NXPセミコンダクターズと合弁で8インチウエハーファウンドリーのシステムズ・オン・シリコン・マニュファクチャリング(SSMC)を同国に設立した経緯がある。現在39%を出資する。また、TSMCの魏哲家総裁は米グローバル・ファウンドリーズ(GF)の前身であるシンガポールのチャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリングにシニア副総経理として勤務した経験があり、シンガポールの投資・生産環境を熟知している。
シンガポールではGFが工場増設に今後2年で40億米ドルの追加投資を計画している。台湾業界2位の聯華電子(UMC)も今年2月、月産能力3万枚の12インチ工場増設に50億米ドルの追加投資を発表した。24年末に22nm、28nm製品の量産を予定している。両社以外にもTSMC傘下の世界先進積体電路(VIS)、米マイクロン・テクノロジー、独インフィニオン・テクノロジーズが同国への投資を計画している。
(提供:亜州ビジネスASEAN)