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社会

2024年7月15日

シンガポールの男性へのHPVワクチン接種推奨、公共健康の向上目指す

 シンガポールの医師グループが、これまで女子や女性にのみ推奨されていたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を男性にも推奨するよう求めている。6月29日に発表された声明で、シンガポール男性健康協会は、HPV感染が男性にとって「重大な健康リスク」をもたらし、陰茎癌、肛門癌、喉頭癌、及び性器疣贅の発生に寄与していると指摘した。
 
 現在、HPV関連疾患の進行を防ぐための定期的な検査は男性に対して行われておらず、感染した男性は再感染に対して免疫を持たない可能性があると非営利団体である同協会は述べている。そのため、男性へのワクチン接種はこれらの病気を予防し、全体的な公共健康を改善する助けになるという。
 
 HPV感染は通常無症状で自然に治癒する性感染症ですが、一部のHPVは女性において子宮頸癌を引き起こす可能性がある。シンガポールでは、HPVワクチンは2020年から男性と少年にも利用可能だが、現在強く推奨されているのは9歳から26歳の女性のみという。2019年からは、中学1年生の女子に対して学校健康予防接種プログラムの一環としてHPVワクチンが無料で提供され、毎年90%以上の女子生徒が接種を受けている。
 
 男性へのHPVワクチン接種が推奨されなかった理由は、肛門癌の発生率が子宮頸癌よりもはるかに低いためだが、新たな証拠や臨床的・費用効果のデータに基づき政策が見直される可能性がある。世界的には31%の男性がHPVに感染しており、そのうち21%は高リスク株によるものとされている。さらに、男性の咽頭癌の増加が指摘されている。
 
 シンガポール男性健康協会は、男性患者に対してHPVワクチン接種の利点を教育し、HPV関連癌や性器疣贅の予防、全体的な健康促進を強調するよう医療提供者に促している。
 
 この声明は、米国の研究者による340万人以上を対象とした研究結果を受けて発表されたもので、男性へのHPVワクチン接種が頭頸部癌などのリスクを減少させることが示された。HPVワクチンが国家免疫プログラムの一環として提供されているオーストラリアでは、様々なHPV株の有病率が顕著に減少し、集団免疫効果も確認されているという。

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